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    <title>クローズアップ</title>
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    <title>危機が迫るメキシコの農村　『壊国の契約　ＮＡＦＴＡ下メキシコの苦悩と抵抗』の訳者、里見実氏に聞く</title>
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    <published>2012-09-20T05:53:48Z</published>
    <updated>2012-11-09T00:24:18Z</updated>

    <summary>　カナダとともにＴＰＰ（環太平洋連携協定）への参加を表明したメキシコ。そのメキシコは1994年に北米自由貿易協定（ＮＡＦＴＡ）を締結して以降、米国から安いトウモロコシの輸入が急増し多くの農家が苦境に立たされているという。若者は農村から米国に出稼ぎに行き人口減で農村の荒廃も進んでいる。
　こうしたメキシコの最近の状況を描いた『壊国の契約―ＮＡＦＴＡ下メキシコの苦悩と抵抗』がこのほど農山漁村文化協会から刊行された。今回はこの翻訳をした里見実國學院大學名誉教授に同書をもとにメキシコの農村や社会全体が抱える問題について聞いた。</summary>
    
        <category term="農政" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: large;"><span style="color: #800000;">トウモロコシを失うことは<br />国を失うこと&hellip;</span></span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: large;"><span style="color: #800000;"><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closnou1209201106.gif" alt="メキシコの地図" width="548" height="422" /></span></span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆トウモロコシの特別な意味</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closnou1209201101.jpg" alt="『壊国の契約　ＮＡＦＴＡ下メキシコの苦悩と抵抗』（農文協刊・定価2600円＋税　四六版282Ｐ）" width="180" height="256" /></span>　原題は『トウモロコシのための闘い―メキシコ農村における農民、労働者、ＧＭコーン』で、カナダの女性文化人類学者、エリザベス・フィッティングが昨年発表した。<br />　同書は「遺伝子組み換えトウモロコシをめぐる論争」と「ＮＡＦＴＡがもたらした農業の危機と生活の激変」が大きな柱で関係者や農民との膨大なインタビューとその検討を通じてメキシコ農村の今を描き出した研究書でありジャーナリスティックな証言でもある。<br />　メキシコの人口は約１億1000万人で日本と同程度だが、国土は日本の5倍。農林水産人口は2000万人だ（09年、ＦＡＯ統計）。<br />　メキシコはトウモロコシの発祥の地で、これが主食であるが、2001年、地元品種に組換え遺伝子との交雑が発見され大問題となった。<br />　メキシコにおけるトウモロコシは主食であるだけでなく、その文化的アイデンティティと結びついて特別な意味をもった作物であるといわれている。<br />　トウモロコシをクレープ状にしたトルティーヤはメキシコ人の日常食だが、植民地時代は「進歩」を代表する小麦のパンに対してインディオの「後進性」を代表する食べ物とされていた。そうした蔑視の中で、農民は地域に合った多種多様な地元品種を育て、それを日常食に、また酒その他の儀礼食として守ってきた。<br />　トウモロコシは「メキシコ人をメキシコ人たらしめる」文化の臍の緒でもあった、という。</p>
<p>（写真）<br />『壊国の契約　ＮＡＦＴＡ下メキシコの苦悩と抵抗』（農文協刊・定価2600円＋税　四六版282Ｐ）</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆ＧＭ種発見の衝撃</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closnou1209201102.jpg" alt="メキシコのとうもろこし。白いもののほか、青いものもある" width="260" height="195" /></span>　そのメキシコの地元トウモロコシはクリオーリョ種と呼ばれる白いトウモロコシだ。北米産の黄色のトウモロコシとは外観も風味も異なっている。今でも村の女たちはこれでトルティーヤをつくるが、そこに政府は栽培認可をしてもいないのに組換え遺伝子を持つ種が紛れ込んでいたのだから大きな衝撃だ。原因はＮＡＦＴＡによって急増した米国産のＧＭコーンからの遺伝子移動である。<br />　しかし、ＧＭは収量を上げる結構な技術ではないかという推進論が、メキシコでも多国籍企業や北部の大農園を中心にあがっている。　ウサビアーガ農相はある全国紙で「われわれは文化と闘っている」と述べたことが同書で紹介されているが、それは低収量の地元種によるトウモロコシ生産へのこだわりこそがメキシコの発展を妨げている、という認識を表明したもの。こうしてＮＡＦＴＡ締結を契機に効率的な農業への転換と市場主義への傾斜が急速に強まった。<br />　これに危機を感じて「トウモロコシの擁護」を追求する農民団体や環境団体、消費者の食の主権を求める運動が今世紀に入って巨大な国民運動になってきたという。</p>
<p>（写真）<br />メキシコのとうもろこし。白いもののほか、青いものもある</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆輸入急増で価格暴落</span></strong></p>
<p>　しかし、伝統的なトウモロコシ生産とそれを担ってきた農村はきわめて厳しい状況だ。<br />　ＮＡＦＴＡが発効したのは1994年。グラフは同書掲載のものだが、トウモロコシの輸入は急増し2006年には800万ｔに迫っている。ちなみに今年３月に発表された米国農務省のデータを調べてみると、2011〜2012年の輸入量は1000万ｔを超えた。同書によると、1994年から96年までにメキシコの穀物価格は48％下落。協定は一応輸入限度枠を設定しているが、発効以来、輸入量はこの枠を超え続け、しかも、輸入業者には超過課徴金支払いは義務づけられていない。<br />　08年にはかたちばかりのこの輸入枠とともに、発効から15年間でゼロにするという関税も完全に撤廃された。<br />　輸入急増と価格下落で地元産トウモロコシは競争力を失っていく。市場に出しても採算はとれず自給的につくるだけという農家も増えた。それでは生活ができないと村を離れる・・・。<br />　同時にＮＡＦＴＡは都会の消費者の食生活も変化させた。<br />　「今や都会で普通に流通しているのは米国産トウモロコシの粉やレディメードのトルティーヤばかりです。本来の風味やバランスのとれた栄養はありません」と里見氏は話す。<br />　しかも、同書によればトウモロコシ価格が下落したからといっても消費者が手に入れるトルティーヤ価格が下がったわけではなかったという。というのもＮＡＦＴＡ発効と同時に消費者価格引き下げのための政府補助金が廃止されたからだ。<br />　08年の世界的な穀物高騰の際には、トルティーヤの価格が高騰したことに数万人の市民が暴動を起こしたと報じられたことは記憶に新しい。同書によれば08年の暴動までの間にトルティーヤの価格は推計で「738％上昇した」という。<br />　メキシコではトウモロコシを農民から支持価格で買い上げ都市部などへ販売する政策を1930年代から行ってきたのだが、それを担っていた国営主要食糧流通公社（ＣＯＮＡＳＵＰＯ）は輸入急増とアグリビジネスの進出のなかで90年代に廃止された。</p>
<p><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closnou1209201105.gif" alt="メキシコのコーン輸入量の増減" width="359" height="262" /><br /><strong><span style="color: #008000;">◆新自由主義コーン体制</span></strong></p>
<p>　これらの変化のきっかけは80年代の債務危機。メキシコはＩＭＦ（国際通貨基金）や世界銀行からの借入れを行った。その際、ＩＭＦや世銀、さらに米国はメキシコに高関税や規制、政府援助などの緩和や撤廃を求めた。いわゆる新自由主義的な構造調整政策といわれるもので、ＮＡＦＴＡはそれを条約として具体化したものともいえる。<br />　もっともトマトやキュウリ、アボカド、ライムなどの野菜・果樹はＮＡＦＴＡ下で輸出が増加したという。しかし、輸出部門での雇用増は全体の雇用を埋め合わせるものではなく、1995年から05年の間に50万人の農業労働者を失業させたと指摘している。<br />　また、外国資本の直接投資が自由化されたこともあって農村部にジーンズ工場が建設され一時は雇用が増えた。ただし、そのブームも2000年に終焉。企業はもっと安い労働力を求めて外国に移転、一時的な雇用は新たな失業を生んだだけだった。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆ばらばらにされた農村</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closnou1209201103.jpg" alt="メキシコの日常食・トルティーヤ" width="260" height="195" /></span>　&ldquo;非能率な農民&rdquo;として追い出された人々が向かったのはどこか？　仕事のあてのない都市部と、米国への出稼ぎである。<br />　里見氏の専門は教育・学習理論と中南米演劇だが、新自由主義的グローバル化の下で世界的に起こっているのは農民の流民化・難民化と都市スラムの肥大化であり、そうした「宙吊り」状態のなか、人はどう生きるか、生きていくことができるかが洋の東西を問わず文化と教育の中心課題だと感じている。土地からも共同体からも切り離された若者たちの絶望がテロと麻薬犯罪を育て、それがはね返って当の米国自体をも翻弄するという構図はメキシコのようなラテンアメリカ諸国にもっとも端的に現れているが、そうした状況下で生活の場に根差した連帯や共同性をどう編み直していくかが問われている、という。<br />　「それは洋の向こうの話ではなくて、この私たちの国の現実になりつつあると、原発事故やＴＰＰをめぐる動きを見ていると痛感されてなりません」。</p>
<p>（写真）<br />メキシコの日常食・トルティーヤ</p>
<p><br /><span style="color: #008000;"><strong>◆根無し草になる労働者</strong></span></p>
<p>　ただし、ＮＡＦＴＡ下のメキシコにも、外見的にはバラ色にみえる面がある。米国に出稼ぎに出てうまく村に送金できた若者は、畑をつぶして瀟洒な家を建てる。ファッショナブルな外国製品が農村にも出回り、消費志向が高まっている。だが村にいるかぎり現金収入につながる雇用は少ない。戻っても職がないから米国に出稼ぎに行くことを繰り返す。皮肉なことに自由化にともなって、国境の壁は厚くなった。9.11以後はとくにそうだ。国境越えはより危険を伴うものになり、案内業者に払う金も増えた。<br />　それでも、こうした若者たちの送金に依拠して老人たちが自給用のトウモロコシを細々とつくりつづけている間は、地元種の白いトウモロコシとトルティーヤは、かろうじて存続する。だがその若者たちが老人になったとき、彼らはやはりトウモロコシをつくりつづけるだろうか。<br />　同書で指摘されていることだが、こうした出稼ぎに行く若者には採算の取れないトウモロコシ生産には興味がなく、実家の農業に関わった経験や、農業知識が急速に失われているという。<br />　「トウモロコシを失うことは国を失うこと」、これが同国のトウモロコシを守る運動のスローガンだ。だが、描かれた現実は厳しい。<br />　原著が出版されたのは昨年６月。<br />　「一読してＴＰＰ交渉に参加しようとしている日本に警告を鳴らすものと思いました。その後、11月の野田首相の会見を聞き、これは待ったなし、急いで翻訳を、と。まさに直視しなければならない世界の現実です」と里見氏は話している。</p>
<p><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closnou1209201104.jpg" alt="里見実（さとみ・みのる）" width="120" height="160" /><br /><span style="background-color: #ccffff;"><strong>里見実 氏　PROFILE<br /></strong>（さとみ・みのる）<br />　1936年生まれ。1965年から2007年まで國學院大學教員。現在、同大学名誉教授。教育・学習理論と中南米文化、演劇活動に関する著作・翻訳を行う。著書に『働くことと学ぶこと』（太郎次郎社）、『ラテンアメリカの新しい伝統』（晶文社）、訳書にパウロ・フレイレ『希望の教育学』（太郎次郎社）など。</span></p>]]>
        

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    <title>【貿易自由化と農業の共存［2］】　ＴＰＰ交渉参加を表明　どうなる？カナダの農業政策　　松原豊彦・立命館大学教授</title>
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    <published>2012-08-16T08:48:55Z</published>
    <updated>2012-08-16T08:55:16Z</updated>

    <summary>　カナダは北米自由貿易協定（ＮＡＦＴＡ）を締結しながらも、同国の重要な乳製品や鶏肉・家禽肉では全国的な需給調整と国境措置を維持してきている。
　そのカナダは関税撤廃を原則とし例外を認めないＴＰＰ（環太平洋連携協定）交渉に参加することを表明した。米国とカナダの事前協議は内容や今後の交渉の行方もまったく不透明だが、カナダの参加でＴＰＰ交渉の農業分野がどう扱われるのか、注視される。ここではカナダの農業保護政策の核である供給管理制度について立命館大学の松原豊彦教授に解説してもらった。</summary>
    
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        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: large;"><span style="color: #ff6600;"><span style="font-size: x-large;">岐路に立つ供給管理と</span></span></span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: large;"><span style="color: #ff6600;"><span style="font-size: x-large;">農産物マーケティング・ボード</span></span></span></strong></p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆ＴＰＰ交渉に参加表明したハーパー政権</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1208160801.jpg" alt="著者＝松原豊彦氏" width="120" height="160" /></span>　カナダのハーパー政権は今年６月にＴＰＰ交渉への参加を表明した。昨年の総選挙でハーパーの保守党は単独過半数を獲得し、それまでの少数与党の不安定な立場から脱した。<br />　この総選挙で、２大政党の一方の自由党は激減し、中道左派の新民主党が初めて野党第１党に躍進した。連邦議会での安定多数を背景にハーパー政権は、新自由主義にそった政策をひたすら推進している。<br />　農業関係では、カナダ小麦局の一手販売・輸出国家貿易を廃止し、８月１日から新制度に移行した。ハーパー政権がめざす方向からみるとＴＰＰ交渉参加はサプライズではない。とはいえ、カナダ農業で重要な役割を果たしている供給管理制度の取り扱いが大きな問題になる。</p>
<p>（写真）<br />著者＝松原豊彦氏</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆乳製品、鶏卵、家禽肉の供給管理制度と国境措置</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1208160803.gif" alt="表１　カナダの供給管理品目の2次関税率品目2次関税率(%)牛乳　　241.0ヨーグルト237.5バター298.5チーズ245.5鶏卵163.5鶏肉238.0?249.0七面鳥肉154.5?165.0資料）カナダ関税譲許表" width="256" height="264" /></span>　ＴＰＰは農産物も含めてすべての関税撤廃を原則としている。<br />　ところが、カナダ農業にとって重要な乳製品、鶏卵、家禽肉は、供給管理制度によって全国的な需給調整を行い、農産物価格を安定化させてきた。供給管理制度は国境措置と表裏一体の関係にあり、加米自由貿易協定とＮＡＦＴＡ（北米自由貿易協定）のもとでも貿易自由化の例外品目として輸入割当制を維持してきた（米国も乳製品、砂糖などをＮＡＦＴＡの貿易自由化例外品目としてきた）。<br />　1995年以降はＷＴＯ（世界貿易機関）協定のもとで関税割当制に移行し、国内消費の5％程度にあたる低関税率輸入枠をこえる輸入に対して、高率の二次関税率を課してきた。牛乳241％、バター298.5％、チーズ245.5％という高率関税である（<strong>表１</strong>）。<br />　ＴＰＰに参加して関税を撤廃すれば、現行の供給管理制度は維持できなくなる。なぜならば、外国から安価な輸入品が流入すれば、国内市場は供給過剰となり生産者価格は下落するからである。カナダの供給管理制度と農産物マーケティング・ボードは重大な岐路に立っている。<br />　本稿執筆の時点で、カナダのＴＰＰ交渉参加にあたって米国等との間で供給管理品目の扱いについてどのような議論がされたか、情報が公開されていない。とはいえ、カナダがＴＰＰに参加するさいに、供給管理品目が大きな焦点になることはまちがいない。本稿では、供給管理と農産物マーケティング・ボードの概要を紹介し、この問題の背景を理解するさいの一助としたい。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆供給管理とボードの仕組み</span></strong></p>
<p>　カナダは有数の農産物輸出国であり、とくに小麦、ナタネ、豚肉などの輸出では国際市場で大きな位置を占めている。その一方で、国内市場中心の乳製品、鶏卵、家禽肉について全国的な需給調整を行っている。これを供給管理といい、農業経営者への生産割り当てによって農産物の需給を調整する仕組みである。<br />　2008年のリーマン・ショックに端を発した経済不況のなかで、乳製品の需要が落ち込み、過剰生産・在庫積み増しによりＥＵ、米国などの乳価は下落した。ヨーロッパの酪農団体からは、カナダの生産者乳価が安定していることに関心が寄せられた。カナダでは供給管理が機能して、乳製品の過剰生産を回避し、価格が安定しているからである。<br />　供給管理を実施しているのが、農産物マーケティング・ボードである。これは農業生産者によって運営される販売組織であり、政府機関ではないが、特定の農産物を生産・販売するすべての生産者を拘束する権限を法令によって与えられている（そこが協同組合とは異なっている）。<br />　マーケティング・ボードはいくつかの類型に分けられるが、ここでは供給管理型ボードにしぼって述べる。<br />　供給管理型ボードの特徴は次の点にある。<br />　第１に、全国的調整機構による販売計画の確立と運用である。全国的調整機構が毎年の総供給量目標を設定し、各州のマーケティング・ボードに配分して供給過剰になることを防いでいる。<br />　第２に、州のマーケティング・ボードによる個々の生産者への販売量の配分である。この配分は生産者が保有する割当（クオータ）をベースに行われる。割当は一定量の農産物を販売するための権利であり、生産者間で売買することができる。　第３に、生産費基準による価格決定である。供給管理型ボードの農産物価格は、サンプルベースの生産費調査を基礎に、需要変動などの要素を勘案してボードが決めている。<br />　第４に、右で述べたように輸出入管理と一体になって運営されている。国内市場で需給調整のメカニズムが機能するには、輸出入管理が必要である。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1208160802.gif" alt="図１加工原料乳の生産目標（2009年7月31日、CDC年次報告書）" width="360" height="302" /></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆酪農の供給管理の仕組み</span></strong></p>
<p>　とくにカナダのＴＰＰ交渉参加で問題になると思われるのは酪農である。酪農の供給管理は生乳と加工原料乳とで仕組みが異なっている。生乳は各州の牛乳マーケティング・ボードが需給調整を行うが、現在では東部５州（ケベック、オンタリオなど）と西部４州の２つに分かれて、牛乳販売価格のプールを実施している。<br />　加工原料乳は、1966年設立の連邦政府公社のカナダ酪農委員会（ＣＤＣ）が中心となって、全国的な需給調整と価格決定を行っている。ＣＤＣと各州代表がメンバーであるカナダ牛乳供給管理委員会（ＣＭＳＭＣ）が、全国牛乳販売計画によって加工原料乳の全国生産目標を毎年策定する。各州への生産目標の配分を示したのが図１であり、ケベックが45.4％、オンタリオが31.4％と主産地の２州で全体のおよそ77％を占めている。<br />　カナダ牛乳供給管理委員会は、加工原料乳の供給管理における全国的な調整機関である。委員会のメンバーはＣＤＣ（議長）、各州の生産者代表と州政府代表であり、全国消費者団体、加工業者団体、生産者団体の代表がオブザーバーとして参加している。<br />　ＣＤＣはバターと脱脂粉乳の買い入れを行っている。ＣＤＣの買い入れ価格は加工原料乳を乳業メーカーに販売するさいの指標として機能しており、生産者価格を下支えする役割を果たしている。ＣＤＣ買い入れ価格のもとになるのは、毎年実施される生産費調査である（平均より大規模な経営が対象のサンプル調査）。生産費調査をベースに、関係団体からの意見、加工メーカーの利益、消費者物価などを勘案して買い入れ価格を決めている。<br />　最近10年間のＣＤＣによる買い入れ価格は安定している。バターは１kgあたり5.54ドル（2000年）から少しずつ引き上げられ、2008年２月には6.93ドル、その後も価格を維持しており2010年で7.10ドルである。脱脂粉乳もほぼ同様の推移をたどっている。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆ケベックの酪農生産者にとって意義大きい供給管理</span></strong></p>
<p>　酪農の農場販売額は53億ドル（2008年）であり、カナダの農産物受取額全体のおよそ13％を占めている。鶏卵、家禽肉を加えると農産物販売額の２割を超える重要な部門である。　酪農経営はケベック州に49％、オンタリオ州に32％とこの２州に81％が集中し、とくに加工用原料乳の比率が高いケベックの酪農生産者にとって供給管理の意義は大きい。<br />　2008年７月、ジュネーブでのＷＴＯ閣僚級会合にさいして、40カ国の農業者団体が共同宣言を発表したが、カナダの供給管理型ボードもこれに加わり、「食料供給と価格の安定をはかるため、貿易ルールにおいて供給管理などの政策措置が認められるべきである」ことを盛り込んだ。ハーパー政権はこれまで供給管理を堅持すると言明してきたが、ＴＰＰ交渉参加はこうした発言と真っ向から矛盾するものである。<br />　カナダの供給管理制度は重大な岐路に直面しており、当該部門の農業生産者にとってまさに正念場であるといわねばならない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>【著者略歴】<br /></strong>まつばら・とよひこ<br />1955年大阪府生まれ<br />78年大阪市立大学経済学部卒業、83年京都大学大学院経済学研究科博士課程満期退学、宮城学院女子大学専任講師、同助教授、立命館大学経済学部助教授を経て98年４月より教授、博士（経済学）、日本カナダ学会理事、草津市未来研究所所長。主著『カナダ農業とアグリビジネス』法律文化社、96年、『ＷＴＯとカナダ農業ｰNAFTA（北米自由貿易協定）とグローバル化は何をもたらしたか―』、筑波書房、04年、『現代の食とアグリビジネス』（共編著）、有斐閣、04年、『新大陸型資本主義国の共生農業システム―アメリカとカナダ―』（共著）、農林統計協会、11年</p>]]>
        

    </content>
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    <title>【貿易自由化と農業の共存】　「共存」と「成長」を可能にしたＥＥＣ関税同盟　　愛媛大学教授・村田 武</title>
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    <published>2012-07-06T07:02:05Z</published>
    <updated>2012-07-06T07:11:52Z</updated>

    <summary>　ブラジルで開かれたＧ20サミットでの交渉参加表明は見送ったものの、ＴＰＰ（環太平洋連携協定）参加に前のめりな野田首相の姿勢は変わらない。関税撤廃を原則とするＴＰＰは農業に大打撃を与えることは明らかだ。
　しかし、貿易自由化と農業はそもそも共存しないのか。この問題について愛媛大学の村田武教授は「悲観的な考え方が支配的だが、国際社会にはそれを可能にした先例がある」と指摘している。今回はその先例のひとつ、ＥＵの歴史と農業政策を改めて解説してもらった。</summary>
    
        <category term="農政" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="background-color: #ffffff;"><span style="color: #3d67c2;">日本も東アジア共同体の構築を</span></span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆二つの先例に学ぶ</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1207060206.jpg" alt="愛媛大学・村田 武教授" width="130" height="130" /></span>　わが国の農業危機と食料自給率の低下、韓国食料のアメリカ依存、飢餓に苦しむ北朝鮮国民、中国の穀物輸入大国化、そして世界的な食料需給のひっ迫がすう勢となっていること&hellip;&hellip;、これらの現実を冷静に判断しなければなりません。<br />　わが国はＴＰＰでさらなる農産物市場開放に進むような愚策を選択する余裕はないのであって、食料安全保障のための東アジア諸国間の連携を強化し、将来の「東アジア共同体」に向けての地道な国際協力こそが求められます。<br />　自由貿易と農業の共存については悲観的な考えが支配的ですが、国際社会はそれを可能にした先例をもっています。<br />　ひとつは、以下に紹介する欧州経済共同体の関税同盟と加盟国農業の共存であり、いまひとつは、北米自由貿易協定を結びながらアメリカに抵抗して農産物マーケティングボードと需給管理を維持しているカナダです。今回は、欧州共同体を、８月10日号では、カナダを紹介します。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆なぜ、欧州は統合をめざしたか？</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1207060204.jpg" alt="イタリアの原産地証明チーズ・パルミジャーノ・レッジャーノ（これから２年間の熟成が始まる）" width="240" height="168" /></span>　西欧諸国は第２次世界大戦後、悲惨な戦争を再び起こすことのない欧州をめざそうと、新しい秩序をめざす努力を重ねました。<br />　そのスタートになったのが、ドイツとフランスが資源をめぐって争わない体制をつくることでした。それが実を結んだのが、石炭と鉄鋼の効率の良い生産と合理的な配分をめざす「欧州石炭鉄鋼共同体」の設立（1952年）です。フランス、旧西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーおよびルクセンブルクの６か国が加盟しました。　そして、この共同体の成功が加盟国を励まし、他の分野でも統合を進めようということで1957年３月にこの６か国が調印し、翌58年１月に発効したのが、欧州経済共同体を設立する「欧州経済共同体条約」（ＥＥＣ条約）だったのです。これと同時に発効した「欧州原子力共同体条約」といっしょに「ローマ条約」ともいわれます。1967年には、諸機関の統一を機に、「欧州共同体」（ＥＣ）とよばれるようになりました。<br />　その後、73年にはイギリス、デンマーク、アイルランドの３か国が加盟し、80年代にはギリシャ、スペイン、ポルトガルの加盟で、12か国のＥＣ、さらに90年代以降東欧諸国の加盟で、現在では27か国が加盟する欧州連合（ＥＵ）となっています。</p>
<p>（写真）<span style="font-family: MS UI Gothic;">イタリアの原産地証明チーズ・パルミジャーノ・レッジャーノ（これから２年間の熟成が始まる）</span></p>
<div><span style="font-family: MS UI Gothic;">　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　</span><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1207060201.gif" alt="欧州統合の主な出来事" width="400" height="624" /></span></div>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆農業共同市場の設立がめざしたこと</span></strong></p>
<p>　さて、ＥＥＣの目的は、共同市場を設立することで、加盟国経済の調和的発展、加盟国国民生活の向上、加盟国間の関係の緊密化を実現することにあるとされました。<br />　そして、これらの目的を実現するために、すでにオランダ、ベルギー、ルクセンブルクの３か国（ベネルックス３国といいます）の間で実現していた関税同盟を６か国に広げ、すなわち、<br />　<strong>［１］</strong>域内における関税および数量制限の廃止、域外に対する共通関税の設定など、これを「関税同盟」といいますが、これを基礎に、<br />　<strong>［２］</strong>人、役務および資本の自由移動、通商、農業、運輸ならびに競争の各分野における「共通政策」を実施してきました。関税同盟の完成には12年から15年の期間をかけるものでした。<br />　ＥＥＣがめざす共同市場の設立は、農業分野でもっとも明確な姿をとりました。というのも、ＥＥＣ設立をリードしたフランスとドイツの政府と経済界には、工業分野で優位にたつドイツの独占企業にＥＥＣ設立が与える利益に見合うだけの利益を、欧州最大の農業国であるフランスの農業部門にも与えるという政治的バランスの必要性が認識されていたことがありました。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆「農業の保護」が共通の視点</span></strong></p>
<p>　さて、域内自由貿易と域外貿易で共通措置のとられる農業共同市場の運営と進展は、加盟国間（域内）の共通農業政策（ＣＡＰ）の樹立によるものとされました。<br />　ＣＡＰの目的は、以下のとおりでした。<br />　<strong>（a）</strong>農業生産性の向上<br /><strong>　（b）</strong>農業従事者の所得向上による公正な生活水準の確保<br /><strong>　（c）</strong>農産物市場の安定<br />　<strong>（d）</strong>供給の安定確保<br /><strong>　（e）</strong>消費者に対する安定的で適正な価格の確保<br />　注意すべきは、現代のＦＴＡやＥＰＡが強制するような加盟国間の農業国際分業を促進するといった目的はＣＡＰにはなかったということです。<br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closag1207060203.jpg" alt="パルミジャーノ・レッジャーノの協同工場" width="170" height="216" /></span>　ドイツやイタリアでは戦後の食糧難の記憶がまだ鮮明でしたし、旧西ドイツは東ドイツの穀倉地帯を失っていましたから、ＥＥＣは農業国フランスの穀物の存在が食料安全保障を担保するものの、ドイツやイタリアの農業生産性や農業者所得の向上もＣＡＰの目的にしっかり取り込まれていたのです。<br />　そして、ＣＡＰの目的を実現するために採用されたのが、域内生産者の生産費を償える生産者価格になるように、域内全体に農産物の統一価格制度をつくることでした。このような農業共同市場づくりは1967年にほぼ完成をみますが、そのポイントは以下にありました。</p>
<p>（写真）<span style="font-family: MS UI Gothic;">パルミジャーノ・レッジャーノの協同工場</span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆中小生産者を守るＥＵ</span></strong></p>
<p>　第一に、農業共同市場は、フランスやドイツの戦前来の農産物価格支持政策を中心にした農業保護政策を引き継ぐことを保証したものでした。だからこそ、ＥＥＣ設立に各国の農業陣営の賛成を得られたのです。農産物価格支持方式は、フランスの人民戦線政府（1936年）の農産物卸売価格支持方式を踏襲しています。したがって、畜産保護は、生乳や生畜ではなく、乳製品（バター・チーズ）や食肉の卸売価格が支持されます。<br />　そして、目標とする卸売価格（「指標価格」）を維持するために、それより数パーセント低い「介入価格」（最低保証価格）によって当局が無制限に生産者から買い入れます。<br />　そして、1960年代に順次実施されていく価格支持は、経営規模が大きく生産性の高いフランスではなく、ドイツやイタリアの中小生産者の生産費を基準にした「指標価格」となったのです。ここを見落としてはなりません。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a onclick="window.open('/closeup/assets_c/2012/07/closag1207060202-10165.html','popup','width=600,height=482,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false" href="/archive03/closeup/assets_c/2012/07/closag1207060202-10165.html"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/assets_c/2012/07/closag1207060202-thumb-550x441-10165.gif" alt="ＥＵの価格支持制度の仕組み" width="550" height="441" /></a></span><br /><strong><span style="color: #008000;">◆輸入には課徴金で対抗</span></strong></p>
<p>　第二に、穀物、バター・チーズ、牛肉、オリーブ油など、域外、とくにアメリカとの競争にさらされる農産物については、域外からの低価格輸入で指標価格が低下しないように、「境界価格」（指標価格から輸入港からの域内輸送費を差し引いた価格）を設定し、境界価格以下の輸入には関税に加えて可変課徴金を加えて輸入を阻止しました（「域内優先原則」といいます）。<br />　域外からの輸入を阻止するための輸入課徴金はオランダの先例を受け継いだとされています。図をみれば、ＣＡＰの価格支持制度がよくわかります。<br />　この農業共同市場づくりを危惧し圧力を加えてきたのが、欧州穀物市場への最大の輸出国アメリカでした。<br />　ガットの第５回多角的貿易交渉（ディロン・ラウンド・1960〜62年）で、アメリカはＣＡＰがアメリカ産穀物を欧州から締め出すことのないように圧力を加えたのです。しかし、当時は冷戦体制で、アメリカは対ソ連・東欧との対抗上、ＥＥＣ加盟国の経済力の強化を望まざるをえませんでした。アメリカは、可変課徴金を認める代わりに、欧州では生産の少なかった油糧種子（主に大豆）と一部の飼料穀物代替品（コーン・グルテンなど）とを域内優先原則から外させることで妥協せざるをえませんでした。<br />　これは、後にＥＵが穀物過剰生産に直面するなかで、穀物を減反し大豆栽培に耕地を振り向けることを困難にする問題を生み出しますが、わが国がコメ以外の穀物市場をすべてアメリカに投げ出すといった従属的なものではありませんでした。<br />　こうして、ガット体制のもとでの貿易大国の参加する最初の本格的自由貿易協定となったＥＥＣは、加盟国間の関税撤廃を進めながら、（１）域外（アメリカ）からの輸入を域内（フランス）からの輸入に転換しつつ、（２）加盟国それぞれの農業の存続と成長を可能にするシステムをつくりだすことができたのです。</p>
<p>&nbsp;</p>]]>
        

    </content>
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    <title>【生産法人調査】「2011年度大規模農家・農業法人の経営状況とＪＡグループに対する意識調査報告」まとまる</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="/archive03/closeup/agri/2012/agri120612-17124.html" />
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    <published>2012-06-12T06:22:22Z</published>
    <updated>2012-08-16T08:56:33Z</updated>

    <summary>　農協協会が2002年から毎年実施している「大規模農家・農業法人の経営状況とＪＡグループに対する意識調査」の2011年度結果がこのほどまとまった。10回めとなる今回の調査では、大規模農家・法人経営の戸別所得補償制度への加入状況と経営に与えた影響などを検証した。分析した谷口信和・東京農大教授は「積極的に加入するとともに、おおむね経営面積規模に応じた交付金を取得、経営の下支えとなっていることが明らかになっている」としている。
　一方、ＪＡグループの事業に対する意識調査では、ＪＡと「販売面での提携」を望む声がこの３年間で着実に増えていることや、雇用者の斡旋や人材教育などを求める意向も増えてきたことが分かった。調査結果の概要を紹介する。</summary>
    
        <category term="農政" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p><strong><span style="background-color: #fcf5fe;">【本調査の実施方法】</span></strong><br />　2011年10月に（社）農協協会から対象農家・法人にアンケート票を郵送。12月末までに回収を終了した。対象はこれまでの調査に協力を得てきた大規模農家・法人を中心に新たに把握した経営体。今回、分析の対象とすることができた回答は347法人と62の大規模農家の合計409。<br />　分析は谷口信和・東大大学院農学生命科学研究科教授（現在は東京農業大学教授）と李侖美・（財）日本農業研究所研究員が行った。</p>
<p style="TEXT-ALIGN: center"><br /><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="background-color: #fcf5fe;">戸別所得補償制度<br /></span><span style="color: #008080;">大規模経営を「下支え」 水田経営の高度化も進む</span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆集落営農、高い加入率</span></strong></p>
<p>　今回は2010年度に実施された戸別所得補償モデル対策の加入状況を聞いた。（以下、米戸別所得補償モデル対策を「米モデル対策」、水田利活用自給力向上対策を「水田利活用対策」と表記）。<br />　表１は経営形態別の米モデル対策への加入状況。法人経営全体の加入率は82.7％と非法人経営の66.7％を上回っている。その法人経営のうちでも集落営農組織が含まれる農事組合法人がもっとも高く89.4％だった。<br />　一方、水田利活用対策の加入率（表２）は、米モデル対策にくらべ低く全体で68.1％となった。米モデル対策は生産数量目標に即して米の生産をするのが条件だが、この対策への加入率の高さが示された。<br />　また、水田利活用対策でも法人経営の加入率のほうが高く、とくに農事組合法人が積極的に加入している結果となった。この結果から、地域との密着度の高い集落営農組織を含む農事組合法人がもっとも積極的に戸別所得補償制度に参加していることが示された。<br />　同時に２つの対策ともに、法人経営のなかでも有限会社より株式会社が高いことから谷口教授は「企業的性格の深化にともない、戸別所得補償制度に積極的に対応している姿が浮かびあがってきた」と指摘した。<br />　経営面積規模別に分析した加入状況をみると、規模が大きくなるほど加入率が高くなる傾向が明確に示された（表３）。そのなかでも30ha以上層では90％以上となっている一方、10〜30ha層は80％台、５〜10ha層は60％台、５ha未満層は50％未満という「加入率の段差」が見られた。<br />　この結果から、「米モデル対策は大規模化や法人化のよきパートナーの役割を果たしているのではないか」と谷口教授は指摘する。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆大規模経営は転作も積極的</span></strong></p>
<p>　２つの対策への加入状況を水田経営面積別にまとめたのが表４。　米モデル対策への加入率は79.1％、水田利活用対策（表では転作）は67.7％。米の生産調整には参加せず、水田転作だけを実施する割合は全体で２％と低いことが示された。<br />　ただ、米モデル対策だけに加入する割合は、規模が小さいほど高くなる。この層では水田転作に積極的に取り組んでいないことが想定されるが、同時に10ha未満層となるといずれの対策にも非加入という割合が高くなっていることが示された。<br />　つまり、小規模な経営では米の生産調整に参加しないという選択をしている経営の割合が高いことが指摘できる。<br />　一方、30haを超えるような規模になると非加入はほとんどなく、米の生産調整とともに転作への取り組みもする経営が８割を超えることが示されており、この規模の経営では「水稲作も転作も分け隔てなくこなす本格的な水田農業経営が成立していることが確認できる」と谷口教授は分析している。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆補助金率、平均35.6％</span></strong></p>
<p>　戸別所得補償制度に加入した経営体から、今回の調査では取得した補助金・交付金の額を調べた。<br />　それをもとに農産物売上高、その他の事業収入、営業外収益の３つの収入のうちに占める、補助金・交付金額の割合（これらは営業外収益に含まれる）を分析した。<br />　それによると全体では収入金額の35.6％を補助金等がしめていることが分かった。また、表５に示したように、経営規模階層を30ha未満と30ha以上層に大きく分けて平均補助率をみると、両者の差に有意な差が見られないことが分かった。「大局的にみれば補助金率は規模に中立的に形成されている」と指摘する。　ただし、階層内での補助金率の分布をみるとほぼ規模に比例して補助金率の割合が上昇することも示されている。<br />　その他の調査項目で大規模経営のほうが新規需要米など新しい取り組みにより積極的であることも示された。　これらの分析結果から谷口教授は、大規模農家・農業法人は「戸別所得補償制度を肯定的に捉え積極的に加入するとともに、経営の下支えを獲得していることが明らかとなった」と分析している。<br />　ただし、米モデル対策の予算のあり方についての質問では、「固定支払い部分を手厚く」という声が多かったものの、「よく分からない」という声も３分の１占めるなど（表６）、「少なからぬ経営者が政策内容を十分に熟知していない」こともうかがわれ、性急な政策の変更ではなく、現場は漸進的な改良、改善を望んでいるのはないと指摘している。</p>
<p>&nbsp;<span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1206120101.gif" alt="「2011年度大規模農家・農業法人の経営状況とＪＡグループに対する意識調査報告」まとまる" width="400" height="814" /></span></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1206120102.gif" alt="「2011年度大規模農家・農業法人の経営状況とＪＡグループに対する意識調査報告」まとまる" width="400" height="710" /></span></p>
<p style="TEXT-ALIGN: center"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #bc5d43;">就農者の斡旋もニーズに</span></span></strong></p>
<p style="TEXT-ALIGN: center"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #b17b4e;">「販売での提携」をＪＡに期待</span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆資金の調達先に変化</span></strong></p>
<p>　この調査では大規模農家、農業法人のＪＡグループ事業への意識を聞いてきた。<br />　資金の調達先では、ＪＡバンクが54.8％ともっとも高く、次いで政策金融公庫が53.1％となっている（表７）。ただし、過去２年間の調査結果とくらべると、政策金融公庫が継続的に増えていることが分かる。<br />　また、今後考えたい資金調達先では、第一候補が「公庫」の43.9％とトップ。ＪＡバンクは25.4％だった。ＪＡバンクは第２候補のトップで32.7％となった。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆米の販売先でＪＡが減少</span></strong></p>
<p>　農産物の販売先を品目別に集計したのが表８。ＪＡの麦、大豆でのシェアは飛び抜けて高い。<br />　一方、米は09年調査では42.7％、10年は43.0％だったが、今回の調査では38.7％と低下した。<br />　米の販売先として今後増やしたいのは「直売所などでの消費者直売」がもっとも多い（表９）。<br />　一方、ＪＡに米を出荷する理由では「代金回収のリスクがないから」がもっとも多く、37.3％。「米の全体需給と価格安定のため」の項目も前回、前々回調査よりも増えている。<br />　表11は今後、米に関してＪＡに期待すること。ここでは「高価格での販売」が31.1％ともっとも高い。逆にＪＡ以外に出荷する理由も調査しているが、その結果では「業者に販売したほうが手取りが高い」が53.6％とトップだった。いずれもこれまでの調査結果よりも高い数字となっており、米については「価格」がより大きな問題になっていることが示されている。<br />　ただ、表10で示されているように、多くの品目でＪＡに出荷する理由として「価格の安定性」と「取引の継続性」が高い水準となっていることも示された。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆生産資材購買先の傾向</span></strong></p>
<p>　表12に生産資材など購買物購買先の割合を示した。<br />　「ＪＡ・ＪＡ連合会」からの購買の割合が50％を超える品目はない。09年、10年の調査では肥料と農薬では50％以上となっていたが、今回は肥料47.1％、農薬47.6％という結果となった。<br />　購買先でＪＡグループを選んだ理由は（表13）、肥料、農薬、園芸用施設、園芸用資材では「価格」と「品質」の割合が高い。農業機械では「アフターケア」と「価格」が高い。とくに大型農機は常に故障の危険にさらされていることから、点検・修理などのアフターケアが価格にもまして購入先選択の重要な要因となっていることが考えられる。<br />　一方、調査ではＪＡグループ以外から購買する理由も聞いているが、どの品目も「価格」の回答率が40〜60％以上と圧倒的に多かった。<br />　その価格については業者よりＪＡのほうが高いと回答する割合はどの品目でも過半を超えた。ほぼ同価格との回答は３割程度となっている。<br />　ＪＡについて５年前の価格とくらべた変化を聞いたところ、どの品目も「高くなった」、「変わらない」を合わせて８割を超えた。ただ、この両者では「変わらない」との回答のほうが多いという結果になっている。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆低コスト支援対策を評価</span></strong></p>
<p>　ＪＡグループのさまざまな生産者支援対策についての利用状況を調査したのが表14。<br />　「低コスト支援（農薬大型規格）」が37.9％でもっとも高く、「担い手農家のニーズに対応した情報や話題の提供」31.8％、「販売支援、提案（共販以外の多様なサービス）」31.3％、「肥料満車直行」29.6％となっている。<br />　このうち「営農用燃料高騰対策」については、09年調査では37.2％と高く、原油高騰時の対策として高く評価されていたことが分かる。いずれにしてもコスト削減策へのニーズが高いことが示されている。<br />　こうしたＪＡグループの事業に対する満足度を聞いたのが表15。満足度が高いのは「低コスト支援」などで、低いのは「情報や話題の提供」であることが分かる。<br />　表16は今後の利用の意向を聞いたものだが、燃料高騰対策や農機のリース事業などコスト削減対策への期待が高いことが分かるが、同時に「情報や話題の提供」にも期待が集まっている。先の満足度調査ではこれはもっとも満足度が低い項目だったが、今後への期待は高いことが伺える。<br />　経営コストの削減はもっとも重要な課題ではあるが、将来の経営を考えるうえではＪＡからの情報提供などが強く求められているといえそうだ。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆将来の経営も見据えて</span></strong></p>
<p>　表17はＪＡとの連携や提携についての考えを聞いたもの。<br />　「農薬、肥料などの生産資材購入に関わる提携」が47.0％でもっとも多く、「販売面における提携」42.4％、「生産技術の提携」42.1％と続く。<br />　「販売での提携」は09年調査34.7％、10年調査38.4％でそのニーズが着実に高まっていることが分かる。<br />　また、「雇用者の斡旋など人材教育に関わる提携」も09年調査8.4％、10年調査10.6％で、今回は13.1％と増えたきたことが注目される。<br />　谷口教授は今回の分析で、規模拡大にともなう就農者の確保のほか、役員の高齢化による後継者育成も課題となっている経営も少なからずあるなど、人材の確保が現場で必要とされていることも指摘、「担い手の斡旋や教育には全農を含めたＪＡグループが今後とも積極的に取り組むべきではないか」と指摘している。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1206120103.gif" alt="「2011年度大規模農家・農業法人の経営状況とＪＡグループに対する意識調査報告」まとまる" width="500" height="463" /></span></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1206120104.gif" alt="「2011年度大規模農家・農業法人の経営状況とＪＡグループに対する意識調査報告」まとまる" width="500" height="477" /></span></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1206120105.gif" alt="「2011年度大規模農家・農業法人の経営状況とＪＡグループに対する意識調査報告」まとまる" width="500" height="1914" /></span></p>]]>
        

    </content>
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    <title>消費税って何？　　消費税は最大の不公平税制</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="/archive03/closeup/agri/2012/agri120601-17024.html" />
    <id>tag:www.jacom.or.jp,2012:/closeup//6.17024</id>

    <published>2012-06-01T06:24:24Z</published>
    <updated>2012-08-16T08:56:22Z</updated>

    <summary>　国会では連日、消費税増税法案が審議されている。増税の目的は財政再建と社会保障制度の充実のためと政府は説明し、野田総理は「政治生命をかける」とまで言い切っている。　増税されれば営農も生活も打撃を受けるが、一方で国の借金を孫子の代に残すのは...、国民が公平に負担しなければ...、という思いもあるかもしれない。
　しかし、そもそも消費税とは何だろうか？。元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏は「最大の不公平税制で根本的に見直すべきです」と強調する。しかも増税すれば輸出企業が潤うという仕組みもあるという。現在の消費税の仕組みと問題点を解説してもらった。</summary>
    
        <category term="農政" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #4d0df1;">増税で輸出大企業が潤う!? その仕組みとは？</span></span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #500e9f;">営農と生活を守るために今考えるべきことは何か</span></span></strong></p>
<p><em><span style="color: #808080;">「&hellip;消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」<br />（東京地裁平成２年３月26日判決より）</span></em></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆消費税は「直接税」!?</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1206010103.jpg" alt="元静岡大学教授・税理士　湖東京至氏" width="100" height="127" /></span>　わが国の税収は現在、約40兆円。このうち消費税は約10兆円を占める。<br />　私たちは今、モノやサービスを買うときに５％を消費税として上乗せして支払い、それが国に納められていると思っている。つまり、買い物のたびに支払った消費税という税金は支払先であるお店などの事業者が「預かっていて」税務署に支払われている間接税だ、と思っている。<br />　また、消費税は「国民が広く公平に負担する税」とも言われてきた。<br />　しかし、湖東京至氏は「消費税は、単純な間接税ではなく直接税の側面を持っていることを理解しないとこの税制の本質が分かりません。消費者が５％を負担している、というのはトリックだということです」と指摘する。</p>
<p>（写真）<br />元静岡大学教授・税理士　湖東京至氏</p>
<p>ことう・きょうじ　1937年東京都生まれ。静岡大学教授、関東学院大学教授（いずれも税法担当）を経て08年から中野合同税理士事務所所長。税理士。「納税者権利憲章をつくる会」事務局長、日本租税理論学会理事ほか。著書に『消費税法の研究』（01年　信山社）『日本税制の総点検』（08年　勁草書房　共著）など。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆赤字でも納税義務</span></strong></p>
<p>　それは、なぜだろうか？<br />　消費税の納税義務者は実は消費者ではなく「事業者」とされているからである。その事業者は年に１回、消費税の名目で納める。税額は年間売上高に５％をかけた額から、年間仕入高に５％をかけた額を引いた額になる。（売上高&times;５％―仕入高&times;５％）。<br />　つまり、そもそも１個１個の商品にかかった消費税を事業者が貯めて、その１年分を国庫に納められる仕組みではないのである。売上高から仕入高を引いた粗利益、すなわち１年間に企業が生み出した付加価値に対して課税される直接税なのだという。<br />　だから、これは赤字企業であっても納税義務が生じる。<br />　なぜなら計算式を見ればわかるように、消費税の課税対象は粗利益なのであって人件費を差し引くことができないからだ。法人税なら人件費を引いた結果、赤字になれば課税はない。しかし、消費税は納税義務が生じるのである。<br />　「中小企業は社員の生活を保証するために苦労して毎月給料を払っているでしょう。そのために赤字になる会社が多い。それなのに消費税はかかる。納めたくても納められない、だから、滞納が増えるのです」。<br />　湖東氏がまとめたデータによると、国税の滞納額のうち消費税が50％を占め第１位となっている（表１）。平成９年に消費税が５％に引き上げられて以来、消費税の&ldquo;トップの座&rdquo;は変わらないという。平成16年に免税対象事業者が年間売上げ3000万円以下から1000万円以下に引き下げられ、さらに悲鳴を上げる零細事業者は増えた。<br />　「これだけ滞納がある税金がいい税金、いい税制であるわけがありません。滞納は消費税の基本的欠陥から発生するのです。それなのに滞納する事業者が悪者であるかのように言われてきましたね。これは消費税に対する基本的認識が間違っているのです」。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆「預り金論」は間違い</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/clos1206010101.jpg" alt="消費税って何？　　消費税は最大の不公平税制" width="260" height="193" /></span>　確かに、消費税を滞納する事業者が問題だ、という風潮は今もある。そこには、消費税は事業者が消費者から預った税金だ、という抜きがたい私たちの認識があるからだろう。<br />　湖東氏の手元に国税庁が作成した古いポスターがあった。そこではあの懐かしい国民的人気番組のタイトルをもじって「マナーだよ！　全員納税！」と呼びかけている。しかし、その説明文をよく目を凝らして読むと「消費税は、いわば預り金的な税」だとある。<br />　実は国税庁も「預り金」とは言っておらず、預り金「的」な税と言っているのだ。湖東氏によれば最初は預り金と書いていたのだが、このように苦し紛れの書き換えを余儀なくされたのだという。<br />　その理由は私たちの間にしつこく根付いているこの「預り金論」は間違いだ、という判断を裁判所が示したから。すでに20年以上も前のことだ。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆「対立の構図」に騙されない</span></strong></p>
<p>　平成２年３月、東京地裁は上記のような判決を下した。<br />　ある消費者グループが、消費税は事業者が消費者から預った税金なのだから、それを国に納めるのは事業者の義務でないか、との訴訟に対するものである。<br />　しかし、この判決では、消費者が支払う消費税を「税金」と言っていないのである。<br />　判決は『消費者が事業者に対して支払う消費税分は、あくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しない』とした。税金ではなく「消費税分」としたうえで、それは対価の一部、と判断した。<br />　それゆえ事業者は消費税分を過不足なく国庫に納める義務を「消費者に対して負うものではない」との考えを示した。つまり、預り金論の間違いを示したことになる。原告らは控訴せずこの判決は確定した。<br />　だからこそ、国税庁はポスターで苦し紛れの言い換えをした。しかし、滞納が増えていることから何とか税金を取り立てようとあの手この手のＰＲを行ったのである。<br />　「税金を取り立てるために事業者と消費者を対立させる構図を作り出すのが目的でした。しかし、実際はお話したように消費税とは事業者の努力によって納められている直接税的な税なのです」。</p>
<p style="text-align: center;">■　　□</p>
<p>　それでも、買い物のときにはいちいち消費税分を取られているではないか、あのお金はどこにいったのか？　とまだ釈然としないかもしれない。しかし、先の判決文が示したように、これは「対価の一部」なのである。<br />　対価は取引先との力関係で決まるといっていい。実際、中小零細企業なら「消費税分込みで請求書を」などと言われることもあるのではないか。かたちのうえで消費税を請求しても実質は値引きだ。　一方、仕入れで値引きができなければ、生み出す付加価値は縮小する。そのなかで人件費等のやりくりで苦労して赤字になることもあるのに、粗利益が少しでもあれば付加価値があるとして課税される。それが消費税が直接税的性格の税だということだろう。</p>
<p style="text-align: center;">■　　□</p>
<p>　これに対して米国では州税としての小売売上税があるが、これは事業者が毎月、消費者から預った税金を手つかずで税務署に納める仕組みだ。日本も消費税導入前に料飲税というのがあって同じような仕組みで都道府県に納められていた。これはまさに事業者を徴収義務者とする間接税だった。<br />　しかし、現在の消費税はそのような間接税とはまったく異なる。<br />　にもかかわらず、私たちは間接税だと思ってしまっていたのである。それはなぜだろうか？</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆フランスが発明した仕組み</span></strong></p>
<p>　「売上高?仕入高」に対して税金をかける、という現在の消費税の算定方式は、戦後日本の税制改革を提唱したシャウプ勧告の生みの親、シャウプ博士が提唱したものだ。<br />　シャウプ博士は事業税に代えて売上高から仕入高を引いた、いわゆる付加価値に対して課税すべきと勧告した。事業税はいうまでもなく直接税である。<br />　日本では結局、付加価値税の施行は見送られたのだが、同じ税金を1954年にフランスが採用した。ところが、仕組みはシャウプ博士の提唱した付加価値税と基本的に同じなのに、フランスは「モノやサービスに課税する間接税」と位置づけたのである。<br />　その理由は輸出還付金を可能にするためだったという。</p>
<p style="text-align: center;">■　　□</p>
<p>　輸出還付金制度のたてまえは海外への販売からは消費税をとれないから、その分を輸出企業に補助するという考え方だ。しかし、直接税を還付すると企業に対する輸出補助金とみなされＧＡＴＴ（関税・貿易一般協定）違反になる。だから、フランスは無理矢理、付加価値税を「間接税である」と主張した――。　「つまり、そもそも付加価値税・消費税とは、ＧＡＴＴ協定違反を逃れて輸出補助金を認めさせるためにつくられた税制だったということです」。<br />　日本の消費税もフランスを参考にしたものだから「間接税」だと説明され、その直接税的な性格は見落とされてきた。そこに私たちの&ldquo;誤解&rdquo;の根があることになるが、さらに問題にしなければならないのは、消費税導入にともなってフランスと同じように輸出還付金制度が日本でも実現したことだろう。<br />　では、その仕組みはどうなっているのか？</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆輸出企業が潤う還付金制度</span></strong></p>
<p>　「実は消費税率には２つの税率があります。知っていましたか」。<br />　えっ？　湖東氏にそう問われて答えに詰まってしまった。<br />　「正解は５％と、もうひとつはゼロ％です。ただし、ゼロ税率の適用が認められているのは輸出販売だけ。ほとんどの人には関係ないので知らないのも無理はありません」。<br />　輸出販売にはゼロ税率を適用する――、これを&ldquo;発明&rdquo;したのがフランスだ。<br />　たとえば、ある輸出企業の売上高が国内で500億円、輸出で500億円だったとしよう。国内には５％の税率が適用されるから25億円が税金となるが、輸出分はゼロとなる。<br />　一方、仕入額は年間で800億円だったとすれば税額は40億円となる。この場合、売上高にかかる税額と仕入高にかかる税額の差がマイナス15億円となる。これが輸出企業に還付されるのである（表２参照）。</p>
<p style="text-align: center;">■　　□</p>
<p>　つまり、本当は売上高1000億円のはずが、ゼロ税率が適用されるために500億円にすることができ、一方で仕入れについては国内から調達しようが輸入だろうが一切問わずにまるまる控除するという仕組みになっているのである。したがって、輸出を増やせば増やすほど、還付金が増えることになる。<br />　政府の予算書をみると還付金は年間およそ３兆円ある（平成22年度予算）。消費税総額の25％にもなる。還付金の支払いが多くて収支が赤字になっている税務署もあるほどだ。ほとんどは巨大輸出企業の本社所在地である（表３、４）。<br />　「消費税は一方で赤字であっても納税しなければならない企業があるのに、一方では還付金がもらえる企業があるという仕組みです。極めて不公平な税制で、私は根本的に見直さなければならないと思います」。<br />　たとえば増税などせず還付金制度を廃止するだけでも３兆円の増収になるわけだ。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆増税の真の狙いは何か？</span></strong></p>
<p>　消費税導入が議論された20年以上前に盛んに言われたのは「直間比率の是正」である。<br />　高齢化社会を控え社会保障のために安定した財源を確保するには直接税だけなく国民が広く薄く負担する間接税の割合を増やす必要がある、と叫ばれた。消費税なら所得のない子どもや高齢者からもとれるというわけだ。<br />　しかし、ここで紹介した湖東氏の解説をふまえれば、消費税は間接税ではなく直接税だ。だから直間比率の是正などというのはまやかしの話であって、実は「赤字でも課税できる直接税としての消費税だからこそ」安定した財源確保につながるという話だったわけだ。　したがって、滞納が多いにもかかわらず、財政再建のためにさらに増税しても税収増につながるのか、という疑問が湧く。</p>
<p style="text-align: center;">■　　□</p>
<p>　また、増税しても食料品など生活必需品は現行税率を据え置くなど「軽減税率」を適用すればいいではないか、という意見もある。<br />　「それは消費者にとって一部の物品の価格が上がらないというメリットはあるでしょうが、事業者からすれば食品価格などは値上げができないということ。<br />　一方で農産物生産にかかるさまざまな生産資材費の税率は引き上げとなる。それは生産者やＪＡの負担になりませんか？　つまり、販売価格に転嫁できず事業者の努力で支払っているという今の消費税の仕組みの根本問題にぶつかるわけです」。<br />　さらに、政府は社会保障の充実のために、というが、かりに10％となれば輸出企業への還付金は倍の６兆円近くにもなる。社会保障のために集めた税金から輸出企業に還元されるお金が増えるなどという福祉政策が許されるはずはない。<br />　湖東氏の主張を聞くと今の増税論議は根本的におかしな話だらけだ。</p>
<p style="text-align: center;">■　　□</p>
<p>　それでも野田政権は増税にひた走る。<br />　「ところが、10％引き上げが実現したらしたで財界は、これでは競争に負ける、と言い出すでしょう。なぜならドイツの消費税は19％。還付金の額は日本の輸出大企業より多いからです。だから、すぐにヨーロッパ並みの税率に引き上げを、という要求が出てくる。　つまり、増税の本当の狙いは輸出企業が受け取る還付金を増やすこと。ＴＰＰで輸出増加を、という話とも重なります。私たちは問題の本質をつかむ必要があります。消費者と事業者が対立している場合ではないんです」と湖東氏は強調している。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="get" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1206010102.gif" alt="表" width="400" height="1172" /></span></p>]]>
        

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    <title>【大統領選挙】手詰まり感深めるオバマ　頼みは付け焼き刃のＴＰＰ　　東洋英和女学院大学教授 中岡望氏に聞く</title>
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    <published>2012-04-20T05:15:11Z</published>
    <updated>2012-04-20T05:19:44Z</updated>

    <summary>　11月の米国大統領選挙に向け、オバマ大統領に対抗する共和党の候補者選びは、ほぼロムニーで決着しそうである。オバマ対ロムニーという大統領選になりそうだが、行方はどうなるのか？　また５月初旬の日米首脳会談でＴＰＰ問題が話し合われる可能性もあると伝えられる。最近の米国の政治・経済の状況と今後について中岡望・東洋英和女学院大学教授に聞いた。</summary>
    
        <category term="米国政治" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #ff0000;">日米ともに、失墜する政治家への信頼</span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆回復しない経済状況</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1204200501.jpg" alt="東洋英和女学院大学 中岡望教授" width="130" height="177" /></span>　共和党の大統領候補者選びは、この１年間、リベラルと目されるロムニーがずっとフロントランナーでしたが、今年に入ってから保守派を代表してサントラムが出てロムニーを追い越す勢いを示していました。そのほかにギングリッジ、ポールという保守派の候補者もいて４月の初めまで４名の候補者が競い合っていた。<br />　しかし、４月初めのサントラムの撤退宣言でロムニーにほぼ決まったという状況です。今のところあとの２人は降りるとは言っていませんから、その意味では予備選挙は終わったわけではありません。ギングリッチとポール候補が保守派を一本化してロムニーに対抗する動きを示す可能性はないわけではありませんが、まず間違いなくロムニーが８月のフロリダ州タンパで行われる全国大会で共和党の大統領候補に指名されることになるでしょう。<br />　一方、オバマ大統領にとって再選に向けては経済動向が重要です。その指標のひとつが失業率で2009年10月には10.1％まで上昇しましたが、今年の３月には8.2％と低下しました。これがオバマ大統領には有利と言われていますが、ここには数字のトリックがあります。つまり、求職活動をする人が減れば失業率は低下するわけです。<br />　実際、職に就くことを諦めた長期の失業者が増えていることが今回の不況の大きな特徴です。ですから単純に失業率が低下したとはいえない。しかも毎月20万人づつ雇用が増えていたのが、３月は12万人にとどまっています。米国は毎月20万人程度、雇用が増えていかないと本当の意味で失業率は下がりません。どんどん新しい労働者が参入しているからで、これを吸収するように絶えず労働市場が拡張していかなければならないのです。<br />　たしかに景気は以前よりもよくなっていますが、実際はまだ厳しい状況が続いています。逆にいえば就任後に818億ドルという大規模な景気刺激策をやったにも拘わらず、これだけしか回復しないのかという失望感が大きいわけです。オバマ政権の経済政策は失敗したという見方が強いのです。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆４年前の熱狂どこに？</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/clos1204200502.jpg" alt="オバマとロムニーの一騎打ち？" width="240" height="151" /></span>　ですから、１年くらい前には「オバマは一期限りの大統領」と言われていましたが、やや持ち直しているという程度です。不支持率が支持率を依然として上回っており、再選に向けて楽観視はできません。４月の初めに行われた世論調査をみると、たとえばＦＯＸニュース調査ではオバマ支持が42％、不支持が51％です。ギャラップ調査では支持48％、不支持44％です。<br />　オバマとロムニーの一騎打ちの場合、どちらを支持するかという調査では、ＦＯＸニュースではオバマ勝利が44％、ロムニー勝利が46％。ＡＢＣとワシントンポスト調査ではオバマが51％、ロムニーが44％です。非常に接戦が予想される状況で、これではオバマ再選は大丈夫とはまだ言い切れません。<br />　要するにオバマ支持層のリベラルな人たちはオバマに失望している。４年前のようなオバマ支持の熱狂的な雰囲気はありません。しかも、若者層の離反が目立っています。<br />　一方で、共和党の支持層の間ではひょっとすると勝てるかもしれないと盛り上がっているともいえます。ただし保守派は結果的にはロムニーは本物の保守主義者ではないとして、支持しないのではないかという見方もあります。というのもロムニーはリベラルと見られているからで、もともと彼はマサチューセッツ州知事のときに州の医療保険制度改革をやったんですが、実はこれはオバマケアといわれる今回の医療保険改革と同じです。だからロムニーは保守派ではない、と。そこでロムニーとしては右ににじり寄って支持を拡大するということをやらざるを得なかった。ちなみに、共和党はオバマケアの廃棄を政策に掲げ、現在、最高裁でオバマケアの違憲審査が行われています。こうした状況のなかで、ロムニーは保守派の支持を取り付けようと、ティーパーティ派や保守的なキリスト教グループに秋波を送っています。<br />　一方、オバマはもっと左に寄っていく。たとえば、ウォール街占拠の問題も最初はオバマやホワイトハウスのスタッフはあまり関心を示さなかった。ホワイトハウスのスタッフなどは、「雪が降ってくれば公園からいなくなる」と言っていたほどです。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆ウォール街占拠と大統領選</span></strong></p>
<p>　ところが運動は思った以上に長続きしているし、実際、米国社会の貧富の差は拡大し中産階級の崩壊が深刻な問題になっている。国民の関心も高まり始めた。<br />　そこでオバマはそこに軸足を移し始め、昨年12月にミシガン州で「中産階級の空洞化の問題、貧富の格差解消に取り組まなければいけない」と演説したし、今年１月の一般教書演説でも再び取り上げました。<br />　つまり、リーマンショック後に金融界を規制できなかった自分への批判でもあるウォール街占拠運動のスローガンを「中産階級の崩壊は問題だ」と都合良く変質させて取り込み、本来の自分の支持層であるリベラル派を取り戻そうとしているわけです。オバマは「階級戦争」という強い言葉を使って、貧富の格差問題を政治課題として取り上げようとしています。<br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1204200503.jpg" alt="「ウォール街占拠」。米国市民にも広がる反ＴＰＰ運動" width="260" height="202" /></span>　ですからオバマもロムニーもお互いに自分の基本的な支持基盤を強化しようと懸命なのです。<br />　ただし、米国の政治状況からいえば、大統領を決定するのは無党派層の動向です。２〜３割いる無党派層をつかまないと当選はおぼつかない。前回、オバマが勝てたのは無党派層を取り込んでいったから。だからロムニーにしてもどう無党派層を引きつけるかが課題になる。その意味では、オバマとロムニーはアンビバレントな状況で、お互いの支持基盤を固めようとすると無党派から反発されるという懸念もあるわけです。</p>
<p>（写真）<br />「ウォール街占拠」。米国市民にも広がる反ＴＰＰ運動</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆医療保険改革も焦点に</span></strong></p>
<p>　こういうなかで政策論争が起きてきますが、焦点のひとつは財政赤字問題です。お互いに財政赤字削減では一致するものの、具体的な政策では大きく違います。オバマはお金持ちへの増税と軍事費削減を主張し、ロムニーは歳出削減と単一増税を主張しています。この単一税制は所得に拘わらず同じ税率を適用するというもので昔からの保守派の主張です。そのうえで福祉プログラムをどんどん切るとの主張です。<br />　また、先ほど触れましたが、オバマ大統領が実施した国民皆保険制度的なものをめざした医療保険改革を共和党はどの候補者も即刻廃止すべきだと主張しています。<br />　さらに現在、この制度は憲法違反ではないかと最高裁で審議されています。<br />　米国の憲法には国民は自分の意思に基づいて契約することができるという条項があります。ところが、今回の医療保険改革、オバマケアは強制加入です。加入しないものにはペナルティが課せられる。だから国家が強制的に加入させるのは憲法違反ではないか、ということです。さらに共和党は連邦政府が憲法で与えられた権限を逸脱していると批判しています。<br />　これに対してオバマは、この改革によって数千万人もの無保険者がカバーされるようになったではないかと主張しています。が、自分で民間保険に加入できている人たちにとっては負担だけが増えていくということですから、共和党の富裕層は否定的だし、米国人には基本的には保険は自分で、という考えもある。<br />　最高裁の違憲判決は日本と異なりすぐに効力を発揮しますから、議会は判決に応じてすぐに修正するか、廃止するかを迫られる。それぐらい最高裁判決は大きい。ですから大統領選挙への影響は大きく、判決は６月にも出るとの見方もあるなかで、かりに違憲判決となればオバマにとっては大変なダメージになってしまう。なにしろ自分の唯一ともいえる成果が台無しになるわけですから。<br />　こういう主張の対立をみていると、実は国家のあり方を基本的に見直す時期に入ってきたということでもあると思います。<br />　今のような福祉国家の姿ができあがってきたのは1930年代の大恐慌以降ですね。日本も戦後からです。<br />　一方でこの間、経済的にはネオリベラリズムが影響力を増し、市場主義だ、競争主義だ、自己責任だと叫ばれ経済的には相当変わってきた。そこで今度は国家のあり方もネオリベラリズム的な見直しの時期に入ってきたということです。どこまで自覚するかに拘わらず歴史的に国のあり方、国がどこまで役割を果たさなければいけないかが問われている大きな転換点に来つつある。そういう大きな選択になるというのも今度の大統領選挙だということです。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆雇用増をどう図るか？</span></strong></p>
<p>　ただ、オバマとしては、選挙に勝つためには雇用を増やさなければならないわけです。国内での雇用創出はなかなか上手く行かない。そのためには輸出を増やすしかない。だからＴＰＰにかける、ということです。以前から指摘されてきたことですが、彼の態度が変わったのは2010年の後半です。それが端的に表れたのが棚ざらしにしていた米韓ＦＴＡの締結です。もともと彼は自由貿易協定に反対でした。それが2010年の後半から変わってきたのは雇用対策の切り札がなくなってきたからです。<br />　ＴＰＰについては、米国の自動車業界と労働組合が反対しています。単純な話で、日本は輸入車に関税を掛けていないが、米国は関税を掛けている。ＴＰＰ交渉で自動車関税がなくなれば日本車がもっと入ってくるからです。米国も一枚岩ではない。日本にとってＴＰＰは農業に大打撃を与えるわけですが、豪州などは米国に輸出しようということになりますから、米国農業にとっても打撃になりかねない。だからＴＰＰ交渉は現実問題としては政治力によるギブアンドテイクということになると思います。<br />　ただ、日本の参加について米国などは何を懸念しているかといえば、日本は約束を守れるのか、日本政府に指導力があるのかということです。<br />　それでも米国は日本に参加してほしいと考えていると思います。日本が入るか入らないかで、国際的な意味合いは全然違ってくる。たとえばウォールストリート・ジャーナルは、「米国内ではＴＰＰは全然注目されていない、しかし、日本が参加すれば注目されるようになるだろう」と書いています。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆どうなる？　日米首脳会談</span></strong></p>
<p>　オバマ政権にとって、ＴＰＰは相当付け焼き刃的な政策であって、当初のオバマの主張からは相当離れた政策です。しかし、政策的にはまったく手詰まりでここに至っている。だから、今度の日米首脳会談でＴＰＰについて日本が参加を表明し合意できたとなれば、オバマは成果としてうたいあげることができる。<br />　しかも、９月から11月は大統領選挙でまったく交渉は動かせないでしょうから、米国は夏までに大枠を決めたい。ＴＰＰ交渉は参加国間で９回も会合をしているわけですから、相当細かなところまで詰まっていると思います。米国政府は年内にＴＰＰ交渉を決着させたいと考えています。<br />　ここに日本が主張する余地を生むためには、この時期の首脳レベルでの政治決断が必要で、形だけでも参加に合意してほしい、ということもありえます。米国があくまで年内妥結をめざすのであれば、ということですが、オバマが立たされているこうした政治状況も考える必要があるということです。</p>
<p style="text-align: center;"><br />◇　　　　◇</p>
<p><strong><span style="font-size: medium;">話を聞いて・・・</span></strong></p>
<p>　米国の政治経済を長くウォッチしてきた中岡氏。オバマ大統領にとって日本のＴＰＰ参加表明は支持率を上げ再選を果たすために欠かせない、日米首脳会談でその成果を期待している――、との見立てだ。<br />　むろん野田首相がそんな手みやげを用意しているなら日本国民への背信行為だ。情報を開示し国民的議論を尽くすとの約束を国民が納得できるかたちで果たさなければならないことは言うまでもない。<br />　それにしても米国の手詰まり感の深刻さはどうだろう。ウォールストリート占拠運動の「99％対１％」という自らに向けられた告発を「都合よく変質させて自分の政治スローガンにしている」などと聞くと、「チェンジ」とはこんなことだったのかと愕然とする。<br />　内外ともに経済だ、成長だと叫んでいるが、「経済とは経世済民のことです」と高校時代の「倫理社会」担当教師に教えられたのを思い出す。<br />　問われているのは何か、今一度しっかり心にとどめたい。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（関連記事）<br />・<a href="/archive03/tokusyu/2011/tokusyu110921-14924.html">【インタビュー】中岡望・東洋英和女学院大学教授に聞く　　深刻化する経済危機と政治対立</a> （2011.09.21）</p>]]>
        

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    <title>【農産物販売と小売業界】フロンティア・マネジメント（株）代表 松岡真宏氏に聞く　　消費者のより近くへ　小売業はそれを実現するための手段</title>
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    <published>2012-04-12T02:19:06Z</published>
    <updated>2012-04-12T04:41:30Z</updated>

    <summary>　いま私たちを取り巻く環境は大きく変化してきている。とりわけ農産物や食品を販売する小売業の変化は大きいといえる。その変化を的確にとらえなければ、農協の販売戦略はたてられないといえる。とくに最近の景気の悪さもあって「消費は低迷」しているといわれることが多い。だが、長年にわたって日本の小売・流通業をみてきた松岡真宏氏は、消費構造の変化に小売業が対応しきれていないと指摘する。そこで、松岡氏に最近の小売業の問題点とそこでの農産物や食品販売の課題を聞いた。</summary>
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p><strong><span style="color: #008000;">◆財布のなかでのシェアが変化した</span></strong></p>
<p><strong>　――松岡さんは、最近の小売業について、一般に言われているように「消費が低迷してから苦しくなっている」のではなく「消費構造の変化に対応していないからだ」と指摘されていますね。<br /></strong>　<strong>松岡</strong>　この20年くらいの日本の消費動向を総務省の「家計調査」でみると消費支出は落ちていません。つまり財布の中身は大きく変わっていませんが、その財布の中でシェアをみると、アパレル（衣料）に対してお金を使わなくなって、４割以上減っています。食品も１割くらい減っています。一方では、保健医療や通信費が伸びています（<strong>図１</strong>）。<br />　そして過去20年間所得はほとんど伸びていないので、新商品が出てくると、みんなが新商品を買うようになり、衣料のような必需品がしわ寄せを受けてきています。<br />　最近は「もの」から「こと」へといわれますが、「こと」つまり「サービス」の家計支出に占める割合が80年代は48％でしたがいまは55％くらいを占めています。その結果、百貨店や量販店など「もの」をメインにしている小売業が厳しくなってきています。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1204120101.gif" alt="日本の家計消費の推移" width="400" height="430" /></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆単身世帯の増加で「もの」から「こと」へ</span></strong></p>
<p><strong>　――そうした構造的は変化が起きてきた要因はなんですか。<br />　松岡</strong>　日本の社会は大家族から核家族化することで、新しい世帯ができ家電商品などが売れましたが、95年ころを境に単身世帯が増えてきていますし、核家族自体も減りつつあるので、2020年には単身世帯が全世帯の17％を超えると予測されています（<strong>図２</strong>）。<br />　単身世帯では２人以上世帯に比べて「サービス支出」の割合が大きいので、「もの」への支出が下がります。<br />　<strong>――高齢者の単身世帯も増えていますね。<br />　松岡</strong>　現在の日本の単身世帯比率は、欧州に比べればまだ低いといえますから、それほど異常な事態ではありませんし、これからも単身世帯で暮らしていけるサービスが増えていくような気がします。<br />　<strong>――その場合のサービスとは&hellip;<br />　松岡</strong>　もともと家の中や、地域共同体で行われていたものがどんどんサービス業に移行しています。その典型がデイケアサービスや介護事業です。あるいは最近東京では、「かけっこ教室」や「逆上がり教室」などいままでは兄弟同士や地域で無償で教えられていたことが、「プロ」が出てきて有償化されているのが、いまの流れだといえます。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1204120102.gif" alt="世帯数の推移" width="500" height="521" /></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆新しい付加価値をつけシェアを奪う</span></strong></p>
<p>　<strong>――そうしたなかで衣料品の消費がもっとも落ち込んできた&hellip;<br />　松岡</strong>　衣料品への消費支出はこれ以上は落ち込まないと思います。そうすると、日用雑貨や加工食品のように、中国やタイなどでつくって持ってこられるものが、低価格競争の脅威にさらされる可能性が高いです。<br />　<strong>――そうならないためには何が必要ですか。<br />　松岡</strong>　例えば同じ家電商品でも、かつて花形だった液晶が低価格の波にさらされている一方で、スマートフォンに代表されるような新商品が喜んで買われています。それをまとめて「家電はだめだ」「食品はだめだ」というのは、乱暴な議論だといえます。<br />　<strong>――食品の場合も他の商品と同じだということですね。<br />　松岡</strong>　食品も昨年あるいは一昨年と同じものを出していけば当然値段は下がっていくと思います。商品そのものだけではなく、商品の付加価値も含めて、どうやって新しい付加価値を提供して財布のなかのシェアを取っていくかです。<br />　<strong>――食品でも生鮮野菜ではすでに家庭用は５割を切っていて、確かに変化してきていますね。<br />　松岡</strong>　野菜という素材そのものから、加工するなど付加価値をつけて売っていくという大きな流れの変化のなかで、どこまで生産者が踏み込んでいくのかで、ずいぶん違ってくると思います。<br />　そう考えてくると、よくいわれている「大規模農家にして低価格にすればいい」という話では、絶対に中国には負けます。だから、農家の規模が大きいとか小さいとかいうことが問題ではなくて、付加価値をつけることに取組めているかどうかだという気がします。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆厳しい百貨店やＧＭＳの経営</span></strong></p>
<p>　<strong>松岡</strong>　いずれにしても、所得が増えないという制約のなかで、消費者が消費するものを変化させていて、それに対応できない小売業が厳しくなっています。<br />　百貨店の売場の月坪当たり売上げをみると、1965年が12万1000円でしたがそれが90年には56万円まで上がりましたが、いまは85年以来の7兆円割れになり、10年の坪当たり売上げは26万6000円と35年前（74年）のオイルショックの時の水準近辺まで低下しています。ここまで下がれば利益はでません。<br />　百貨店の場合は売場面積自体が減り始めていますから多少競争は緩やかになってきたともいえます。<br />　問題は量販店（ＧＭＳ）で、売上げが横ばいですが、売場面積がまだ増えています。80年代は500万平方ｍくらいでしたが、現在は2500万平方ｍと30年間で5倍になっていますが、売上げは2000年ころからほとんど頭打ちで、月坪当たり売上げは90年代前半のピーク時の55％にまで低下していますから、いまは非常に厳しい状態だといえます。<br /><strong>　――今後は&hellip;。<br />　松岡　</strong>いまは金利が1％なので利益率2％のお店でも維持できていますが、80年代のように金利が5〜6％になったら非常に厳しくなります。<br />　そうしたなかで「地方スーパー（ＳＭ）は非常に伸びています。それからコンビニエンスストア（ＣＶＳ）が東日本大震災以降、生活インフラということで脚光を浴びていますが、ドラッグストアの方が売り場面積は増えてきています。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆低くなっている業態の垣根</span></strong></p>
<p>　<strong>――業態の垣根が低くなってきているという印象がありますが&hellip;<br />　松岡</strong>　小売業のなかの境だけではなく、レストランでパック食品が売られていたり、ファーストフードから宅配するなど外食産業との境もなくなってきています。<br />　食品スーパーでは惣菜に力を入れ、中食のシェアをいかに取るかを考えていますから、従来の業態としての切り口よりも、それを超えてどういう商品を出して消費者の財布のシェアを奪うかという競争になってきているということです。「消費者により近い」ところが勝っています。<br />　<strong>――もう少し具体的にいうと&hellip;<br />　松岡</strong>　日本は単身世帯が増え、コンビニエンスストア（ＣＶＳ）がＳＭに近くなっているように「日々買って食べる」生活スタイルが主流になってきています。<br />　<strong>――そうしたなかで食品の位置づけは&hellip;。<br />　松岡</strong>　ＧＭＳは食品の利益で経営を維持していますから、食品を中心に競争が激しくなっていくと思います。昨年と同じ一昨年と同じ商品を出しているとどんどん価格は安くならざるをえないでしょう。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆生活シーンやスタイルに合わせた提案を</span></strong></p>
<p><strong>　――食品は電化製品と違いそう大きく変わることは難しいと思いますが。<br />　松岡</strong>　それでも昔に比べれば、食生活はずいぶん変わったと思います。素材売場をみてもパプリカやアボガドなど昔はなかった食材がたくさん並んでいたり、トマトの種類がたくさんあり、食生活は豊かになっています。<br />　トマトの場合、生食だけではなく加熱用があったりして「もの」だけではない付加価値、つまり食べ方や効能など人びとが興味あるものを総合的な情報として提供できれば、値段が下がるというプレッシャーから逃れられる可能性があるのではないでしょうか。<br /><strong>　――その場合の情報というのは&hellip;<br />　松岡</strong>　レシピや効能だけではなく、生活シーンや生活スタイルに合わせた提案です。トマトはトマトで変わらないけれど、その打ち出し方を毎年新しいものに変えていくことが大事だと思います。<br />　<strong>――生産された農産物の質がよいから売れるはずという発想だけではだめ&hellip;。<br />　松岡</strong>　農業もビジネスというか産業にすることが大事です。<br />　<strong>――そのときに小売業の変化を的確につかまなくてはならない&hellip;。<br />　松岡</strong>　小売業は売るための手段です。ＧＭＳにするかＳＭにするかは手段の選択にすぎませんから、消費者が求めるものをつくり消費者に届けることです。そのときに、生産者の思いを含めて、消費者にとってどういう価値があるかをきちんと届けることです。<br />　<strong>――いま農協も「6次産業化」ということで付加価値をつけた販売に取り組み始めてはいます。<br />　松岡　</strong>そのときに、こういう素材があるからとか余っているから何か売れるものをつくろうという発想ではなく、消費者が何を求めているかを知り、それに応えるためにはどういう素材を開発し、どういう付加価値をつけるかを考え、実行することだと思います。<br />　<strong>――どれだけ「消費者の近く」に立てるかということですね。<br />　松岡</strong>　その通りです。<br /><strong>　――今日はありがとうございました。</strong></p>
<p><br /><strong>【略歴】<br /></strong><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1204120103.jpg" alt="フロンティア・マネジメント（株）代表 松岡真宏氏" width="130" height="132" /></span>まつおか・まさひろ<br />東京大学経済学部卒業。（株）野村総合研究所、バークレイズ証券会社を経て、1997年にＵＢＳ証券会社に入社。99年に株式調査部長兼マネージングディレクターに就任。この間、流通業界を中心に証券アナリストとして活動。03年（株）産業再生機構に入社し、マネージングディレクターに就任。07年にフロンティア・マネジメント（株）を設立し、代表取締役に就任し現在にいたる。<br />主な著書に『小売業の最適戦略』（日本経済新聞社 98年）、『百貨店が復活する日』（日経BP社 00年）、『問屋と商社が復活する日』（日経BP社 01年）、『逆説の日本企業論』（ダイヤモンド社 03年）、『流通業の「常識」を疑え！』（日本経済新聞出版社 12年）がある。</p>]]>
        

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    <title>【生協の産直】地域と生きる生協の産直</title>
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    <published>2012-03-02T08:17:57Z</published>
    <updated>2012-03-02T08:25:05Z</updated>

    <summary>　日本生協連は２月24〜25日、宮城県仙台市で「第28回全国産直研究交流会」を開いた。この研究会は昨年までは毎回東京で開催されてきたが、今回については、東日本大震災と東電福島第一原発事故からの「東北地方の復興を生協陣営として強力に推進する」ために、あえて仙台で開催することにした（福永晋介・日本生協連産直事業委員会代表委員 京都生協）。
　また今回は、日本生協連が産直事業について４年ごとに行っている「全国生協産直調査」（2010年度実績）もまとまり報告された。この調査報告を中心に、生協産直の現状と今後の動向について紹介する。</summary>
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #4d9dbc;">「農業の振興」をこれからの課題に</span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆生鮮６品の３割が産直に</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closfo1203020504.jpg" alt="仙台市で開かれた「第28回全国産直研究交流会」" width="260" height="154" /></span>　「全国生協産直調査」は４年ごとに実施され、今回が８回目となるが、今回の調査対象は、日本生協連会員生協のなかから、「おもに事業高上位の40生協と11事業連合から集約し、全体で73生協を網羅」して昨年６〜８月に実施された。<br />　この調査によると、参加生協合計の2010年度の産直事業規模は2756億円で前回の06年度実績（2381億円）より15.8％伸張した。これを生鮮６品（農産・畜産・牛乳・鶏卵・米・水産）に限れば17.8％の伸張となる。<br />　また、参加生協の生鮮６品の事業高9091億円に占める産直の割合は、30.2％となっている。ちなみに食品総供給高に占める割合は14.9％となっている（<strong>表１参照</strong>）。</p>
<p>（写真）仙台市で開かれた「第28回全国産直研究交流会」</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1203020501.gif" alt="生協産直の規模" width="336" height="240" /></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆飼料用米の65％は生協が使用</span></strong></p>
<p>　前回（06年度）調査と比べて「飛躍的な前進があった」のは、米や稲を畜産に活用する飼料用米や飼料用稲の取り組みだ。<br />　飼料用稲の先駆的な取組としては、鳥取県畜産農協と京都生協による肥育牛への給与があげられる。2000年から始まったこのプロジェクトは「100年先も継続できる畜産」の実現を意識して、水田で飼料用稲を栽培し、飼料の地場での自給を試みるものだ。<br />　そのほかにも、放牧を中心にした自給飼料で生産されている東都生協の「北里八雲牛」や、国産飼料を積極的に活用している生活クラブ生協の「開拓牛・ほうきね牛」など、土地利用型畜産もでてきていることが報告されている。<br />　飼料用米はごく一部で牛にも給餌されているが、主に養豚・養鶏（鶏卵）で使われている。飼料用米を使った「米ぶた」の取組みとして早いのは、生活クラブ生協と平田牧場の「平牧三元豚」があるが、最近は多くの生協でも取組みの実践が開始されている。<br />　「米たまご」も、コープネット、パルシステム、ユーコープ、東都生協、コープあいち、コープしが、京都生協、コープこうべなど、全国各地の生協に急速に広がってきている。<br />　こうした飼料用米、飼料用稲で育てた畜産や鶏卵を取扱っている生協は48生協（調査生協の65.8％）にのぼっている。そして10年度の「生協事業における飼料用米・飼料用稲の使用量」は、２万256トン。そのうち「豚肉のために7891トン（39％）、鶏卵のために7537トン（37％）を使用」した。<br />　農水省によると、09年度の全国の飼料用米作付面積は4192ha、飼料用稲作付面積は１万306haだというから、「生協の産直事業で日本全体の飼料用米の64.8％、飼料用稲の5.4％を使用」したことになると報告されている（<strong>表２参照</strong>）。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1203020502.gif" alt="飼料用米・飼料用稲の取扱量" width="459" height="175" /></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆大切な資源である水田の活用と保全を</span></strong></p>
<p>　そしてこの「報告書」では、こうした取組みの特徴の一つとして、「飼料用米生産者、飼料メーカー、畜産事業者、食肉事業者、行政等々の有機的なつながりなしにはこの取組みを成功させることはできない」とし、この事業を支える「ネットワークの広がり」の重要さを指摘している。<br />　さらに「フードチェーンの最も川下側に位置する生協がコーディネート機能を担い、稲作農家と畜産生産者と生協組合員の新しい関係を形成する点」にも特徴があるとしているが、正にその通りではないだろうか。<br />　そして最後に、大きな実践的な前進があったとはいえ「飼料用米・飼料用稲を活用していくことには関係者にとってそれぞれ一定のリスクがある」ことも指摘。そのうえで「飼料用米・飼料用稲を通じて自給率を高め、大切な資源である水田を活用し、保全していくことを共通の理念として、生産者団体や行政とも連携しながらネットワークをさらに広げていくことが必要」になっていると指摘した。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆「安全な食の確保」から「地域コミュニティへの関与」へ</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a onclick="window.open('/closeup/assets_c/2012/03/closfo1203020503-thumb-300x654-9261-9262.html','popup','width=300,height=654,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false" href="/archive03/closeup/assets_c/2012/03/closfo1203020503-thumb-300x654-9261-9262.html"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/assets_c/2012/03/closfo1203020503-thumb-300x654-9261-thumb-200x436-9262.gif" alt="産直において重視する課題" width="200" height="436" /></a></span>　<strong>右図</strong>は、産直事業において「現在、重視している課題」と「今後、重視すべきであると思う課題」を示したものだ。<br />　これをみると、従来「安全な食の確保」に「集中しがちだった組合員の生協産直への期待」は、「食料自給」「農業・農村」「環境」「地域」へと「新たな広がりをもつようになって」きているし、そうした「組合員の関心の広がりに呼応するかたちで近年の生協産直の幅も広がってきたとみることができる」。<br />　さらに「生協産直の新たなテーマとして、『コミュニティへの関与』（「協同組合のアイデンティティに関するＩＣＡ声明」第７原則）ということが実践的なテーマとして浮かび上がってきていることも、注目される動向」だと「報告書」は指摘する。<br />　そこには当然、地産地消や地域自給を意図したさまざまなネットワークの構築などの取組みもあるが、「それぞれの地域における生協の世帯加入率が大きく前進」し、例えば宮城県では世帯加入率が70％というように「県民の過半数を超える生協もでてくる」など、「生協が主体的な力をつけてきつつある」ことなどによって、「地域社会になくてはならない組織として認められつつある」（福永代表委員の報告）こと、さらには「生協は『消費者の組織』という言い方に違和感が出てきている」（同）ことなどから「地域社会の生協に対する期待も大きくなってきている」。<br />　そして「地域の豊かな資源と多様な事業者を、生協・生協組合員が参加することによって結びつけ、地域経済活性化につなげる取り組みは、地域の中で資金を循環させるという観点からも注目を集めている」（報告書）。<br />　つまり、その生協のエリア内の世帯加入率が高まるにつれて、生産地である農山漁村での生協組合員比率が高まり、「消費者であるだけなく生産者でもある組合員が多数存在する」ようになり、「コミュニティへの関与」という考え方が「理念的」なものから「現実的」なものとして「見え始めてきている」ということだいう。<br />　福永産直委員会代表委員は「現時点での到達点としては必ずしも『地産地消＝産直』ではないが、少なくとも『地産地消≒産直』という段階には近づいてきており、地産地消を生協産直の中身をさらに豊かにしていく可能性の一つとして、積極的に展開していく必要がある」との考え方を示した。<br />　生協の産直交流研究会は今回で28回目を迎えるが、この間、生協産直を巡ってさまざまな問題・課題が生じてきた。それは生産者側の問題だけではなく、生協・消費者側から生じた問題も数多くあった。それらを克服して今日があるといえる。<br />　そして「これまで以上にしなやかに、創造的に、生協産直は進化していかなければなりません。協同組合にしかできないやり方で、東日本大震災からの復興とこの国の食と農の再生に向けた確かな一歩を刻まなければなりません」。「報告書」の「おわり」に述べられている言葉だ。ぜひ、そうあって欲しいという願いを込めて、結びの言葉としたい。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;">（※図をクリックすると大きく表示します）</span></p>]]>
        

    </content>
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    <title>【食品スーパーのこれから】　大塚明・日本スーパーマーケット協会専務に聞く　　生き残りの鍵「もっと近づく」こと</title>
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    <id>tag:www.jacom.or.jp,2012:/closeup//6.16235</id>

    <published>2012-02-21T07:26:19Z</published>
    <updated>2012-02-21T07:33:23Z</updated>

    <summary>　米国の景気低迷やＥＵの財政危機の影響による円高、さらに昨年の東日本大震災と原発事故は、日本の小売業にもさまざまな影響を及ぼしている。そしてその「主戦場」は食品だといえる。日本にスーパーが誕生して60年。いま食品スーパーは曲がり角にきているという。そこで、農畜産物を生産する日本の生産者にとっても重大な関心事である食品スーパーの現状とこれから食品スーパーが進むであろう方向について、日本スーパーマーケット協会の大塚明専務に聞いた。</summary>
    
        <category term="フードビジネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #625da2;">「高齢化」「独り暮らし」増加にどう対応するのか</span></span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><br /><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #36345a;">生産者と売場のジョイントで新たなビジネスを </span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆小さな商圏で過酷な競争を戦う</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closfo1202210203.gif" alt="ＪＡＳ「シナリオ2020」（要約版）より" width="300" height="221" /></span>　現在、食品スーパー（ＳＭ）は、全国に約１万8000店（2007年現在）、これにＧＭＳ（総合スーパー）の食品売場もＳＭと同じだと見て加えればおよそ２万店舗あることになるという。人口密度の高い地域や低い地域などあり一様ではないが、日本の人口を１億2000万人とすると6000人に１店舗という計算になる。<br />　食品スーパーを出店するためには、１坪100万円くらいの投資が必要だと大塚明日本スーパーマーケット協会（ＪＳＡ）専務はみている。その投資の３倍くらいの売上げをあげないと利益が出ない。つまり坪当たり年間300万円。休業日もあるので１日およそ１万円／坪が売上げの目安となる。<br />　企業数は地域で小規模に展開している企業もあり正確には分らないが、1300社弱と推定されている。コンビニエンス（ＣＶＳ）業界は上位５社で売上高の約９割、ＧＭＳは５社で８割弱を占めているが、ＳＭ業界の上位５社の売上高シェアは９％に過ぎない。<br />　つまり小さな商圏で「過酷な戦いを強いられている」のが現在の食品スーパーだと、大塚専務はいう。<br />　他の業界では企業統合などが進んでいるが、この業界はどうなのか。これまで「他業界のように上位集中が進んでこなかった」のは「２〜３店舗規模でも、地域にしっかり根ざした企業なら、それなりに生き残ってこれた」からだとみている。そしてこれからは「資本の統合化が進む一方で、小規模でも地域に根ざした企業の二つに二極化する」と分析する。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆かつてのような成功モデルはもうない</span></strong></p>
<p>　そうしたなかで、食品スーパーはどのような方向に進むのか？　「大きな曲がり角にきているが『&ldquo;モデルなき時代&rdquo;』」だと大塚専務はいう。どういことなのか、歴史的に振り返ってみたい。<br />　日本にレジスターを備えたセルフサービスの米国型スーパーが誕生して60年が経つ。最初の30年は米国スタイルをモデルに進め、およそ30年が経過していずれのＳＭも同質化した時期にＰＯＳレジが導入された。その後は「データでの勝負」の時代が続き、販売データを分析して重点商品の管理をするようにもなった。<br />　そしていまやポイントカードを全企業が導入し「あなたが何月何日に何と何を買ったか」というデータまで調べようと思えば調べられる。そういう競争になってきたが、これから先にはかつての米国のような手本になるモデルはもうない。「それぞれの企業が自分たちの生き様を、商売のやり方を明確にして戦っていかないといけない時代になった」ということだ。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆商売を変える３つの要素</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1202210201.jpg" alt="日本スーパーマーケット協会・大塚専務" width="130" height="170" /></span>　「個々の生き方を明確にする」ときに考えなければいけない要素は３つあると大塚専務は指摘する。<br />　まず第一は、「お客様の変化」だ。お客の変化とは、（１）人口構造の変化と、（２）価値観の変化で、これが「商売に一番大きなインパクトを与えてくる」。<br />　二つ目は、小売業を取り巻く法律が変わることだ。人件費の増大を招きかねない短時間労働者の厚生年金問題や消費税値上げもここに含まれる。<br />　三番目は「ＩＴの変化が商売を変える」ことだ。ＳＭやＧＭＳがこれまで成長してきた要素の一つに、新聞折込チラシの有効な活用がある。<br />　しかし、ＩＴ技術の発展で、タブレット端末で新聞を読んだり、メールだけでいいと新聞の宅配を必要としない層が増えている。そういうなかで従来からのチラシマーケティングをどう伝えるのか、マーケティングのあり方が問われる。<br />　「いまのように、モノを集めました。お客様は店に来てください」という「商売はだんだんダメになる」のではと大塚専務は危惧する。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆ファミリーユースからパーソナルユースへ</span></strong></p>
<p>　「この３つの要素によって商売をどんどん変えていかなければならない」が、一番の問題は「人口構造の変化」とりわけ「高齢化」にどうアプローチするかだ。<br />　さらに高齢化の影響もあって、家族構成が大きく変化している。<strong>下図</strong>のように、1980年に夫婦と子どもという「標準世帯」は全世帯の42％を占めていたが、独り暮らしや夫婦だけという世帯が増え、08年にはこの二つで半数を超え、30年には７割近くを占めると推計されている。さらに独り暮らしの中でも高齢者の割合がどんどん増えてきている。「これに商売としてどう対応するのか、極めて大きな課題」だ。<br />　60年前にスーパーが誕生したときのターゲットは、夫婦と子ども２人とか、それに舅姑が同居している５〜６人のファミリー層だった。その後、核家族化が進むが「家族なので３人とか４人のユニットで考え、量目にしろ店内のすべてをファミリーユースで運営してきた」。しかし、いまはこうした「ファミリーユースからパーソナルユースに移り始めている」。<br />　「パーソナルなら量目を小さくすれば」という意見があるが「独りで作っても食事は面倒だし美味しくない」。そうすると「素材よりも加工度をあげたものを提供する必要がある」。加工度といってもさまざまで、泥が着いているよりは泥を落としたりとか、白菜を１個売りから半分や４分の１にカットしたり、ざく切りにパックし「一人前鍋物」用にすることもそうだ。さらにすぐに火にかけられる状態にしたり、最後はそのまま食べられる惣菜まで、加工度を上げたものにするというのも一つの方法だ。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a onclick="window.open('/closeup/assets_c/2012/02/closfo1202210202-9184.html','popup','width=656,height=481,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false" href="/archive03/closeup/assets_c/2012/02/closfo1202210202-9184.html"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/assets_c/2012/02/closfo1202210202-thumb-556x407-9184.gif" alt="世帯類型別構造の変化" width="556" height="407" /></a></span></p>
<p>（&uarr;　クリックすると大きく表示します）</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆生活を楽しむ「こだわり」商品を提供する</span></strong></p>
<p>　一方で前にもふれたが、ＩＴ化でチラシマーケティングにも変化が求められている現在のキーワードは何か。<br />　大塚専務は「どれだけお客に近づいていけるか」だと考える。<br />　もっとも究極は「御用聞きをして届ける」ことだが「非効率的で企業的ではない」のでネットを上手く活用できないかとか、分配するための簡単な店舗をつくりそこに卸すとか、エリアや年齢構成によって方法にも違いはあるが「いまよりも近づく商売」を考えなければという。<br />　そういう商売は昔からＣＶＳがやってきたことだともいえる。だから「これからの敵はＣＶＳとかドラッグストアや宅配業者だったりする」とみている。<br />　そして「近づく商売」ではいままでのように本部が一括して100店舗あればみな同じ品揃えにするというビジネスは通用しなくなる。「近づく」とはそのエリアに住んでいる人に合わせた品揃えをするということだからだ。<br />　その時には、価格・味・売る期間・品種といった「こだわり」がクローズアップされてくる。なぜかといえば、いままでのビジネスモデルは、人が生きていくために必要で便利なモノを提供する店、つまり「みんなが同じモノを求める店」だった。<br />　しかしこれからはそれにプラスして生活をもっと楽む、「私だけが楽しめる」こだわり商品をどれだけ提供できるかが勝負になるからだ。<br />　「こだわり」というと高いモノと思われがちだが違うと大塚専務はいう。景気が悪いので安いものを買うけれど、いつも同じでは面白くない。だから「私は魚にこだわる」。あるいは「私は野菜だけは」とか「使い勝手の良いモノ。タイムリーに食べられたり、使えるモノ」を含めた「こだわりの時代」になってきている。そういう消費者のこだわりにどう応えるかが大事になるということだ。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆「存在」から「状態」へ</span></strong></p>
<p>　そうなるとマーケティングの仕方も変わる。いままでは、年齢や年収、家族構成とか何を食べるなど「存在」で考え、それほど間違いはなかった。<br />　しかしいまは、人は楽しいと思うときには「妙にお金を使ったりする」ように、「お客は昨日も一昨日も同じではない。いつも動いている」から「その動きに対応できるような商品や品揃えを提案する時代」になってきている。つまり「存在」ではなく「状態」をどうキャッチアップするかがポイントになる。だから小商圏で「近づく商売」が必要になり、「100店舗あれば100通りの売場があっていいし、そういう売場にしなければいけない」ということになる。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆農産物が持っている物語性を売る時代に</span></strong></p>
<p>　そういう時代に農産物の生産者に求められてくることは何か。<br />　いままでは生産者は「最高のモノを作れば売れる」と考えてきただろうが、いまは農産物に限らずあらゆる商品で、「良いもの」と「売れるもの」は違い始めてきていると大塚専務は指摘する。いまは「モノ離れ」の時代になり、「最高の品質」というより、「喉が渇いたときに気楽に飲める商品ですよ」といった方が売れる。<br />　だから農作物の場合も「誰に、どこで、どれだけを、いくらで、いつまでに売りたい」かを明確にし、売場の人たちと生産者が話し合いながら、商品提案をしたり、栽培する。そこにこれまで培ってきたノウハウを投入して欲しいと大塚専務は考えている。<br />　そのときに大事なのは、商品の質もさることながら、「農産物が持っている物語性とか、こだわり、これを食べるとどうなるとか、ここまで来るまでにこんな苦労があった」という商品周辺にある「エピソード＝ストーリーをしっかり売る感覚が大事になってきている」。<br />　「産地直売という感覚ではなく、生産者と売場がジョイントして商品を作り出していく」ということだ。<br />　そうしたことを実現するためにも、ＪＡに望みたいことは「お互いの情報交換」だと大塚専務は考えている。もちろん「店頭の情報をどう生産者に伝えるか」を店側は考えなければいけないが、同時に、価格や出荷時期・生産量、さらには「こういうモノが作れるといった技術情報」を含めて「生産者の情報を的確に伝えて欲しい」という。そこから、コミュニケーションが生まれ、新たなジョイントビジネスが誕生するのではないだろうか。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1202210204.gif" alt="ＪＡＳ「シナリオ2020」（要約版）より" width="400" height="415" /></span></p>
<p><br />（写真）<br />ＪＡＳ「シナリオ2020」（要約版）より</p>]]>
        

    </content>
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<entry>
    <title>【24年産米の課題】　生産数量目標は２万ｔ減の793万ｔ―被災地との県間調整、や安全基準見直しなども課題</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="/archive03/closeup/agri/2011/agri111206-15569.html" />
    <id>tag:www.jacom.or.jp,2011:/closeup//6.15569</id>

    <published>2011-12-06T05:10:28Z</published>
    <updated>2011-12-06T05:20:50Z</updated>

    <summary>　農林水産省は11月30日に食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開き、24年産米の生産数量目標を23年産より２万ｔ減らし793万ｔすることを諮問、食糧部会はこれを了承したことから12月１日、都道府県別生産数量目標を設定し公表した。
　生産数量目標は米の需要をもとに設定されているが、減少の一途をたどっている。食糧部会では、世界の食料不足が懸念されるなか「生産数量目標を引き下げるのに不安を感じる」、「もっと消費拡大の取り組みを」などの意見もあった。一方では、福島原発事故の影響で、出荷停止を余儀なくされた地域もあり、出荷停止米の扱いや今後の米の安全検査体制などの課題も指摘された。24年産米の課題を整理してみる。</summary>
    
        <category term="農政" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p><strong><span style="color: #008000;">◆需要動向と目標数量</span></strong></p>
<p>　米の生産数量目標は需要見通しをもとに決められる。<br />　11月30日の食糧部会では、平成22年７月から今年６月までの需要実績は820万ｔと確定したと報告された。<br />　この数値も含め過去の消費トレンドから算定された今年７月から来年６月までの需要見通しは805万ｔとされ、さらにその翌年、すなわち来年７月から25年６月までの需要見通しを797万ｔと見込んだ。これが24年産米の生産数量目標に関わるデータとなる。<br />　その一方ですでに確定している22年産の生産実績は824万ｔだったが、前述のように需要実績は820万ｔとなり４万ｔの生産オーバーとなった。<br />　こうしたことから来年７月から１年間の需要見通し797万ｔから４万ｔを差し引き、生産数量目標を793万ｔとした。面積換算すると全国で150万haとなり、22年産より目標面積にして4000haの減となる。<br />　23年産の生産数量目標を決める際にも、需要見通しから需要減を見込んで７万ｔ削減した数量とした。しかし、22年産では需要量見通し813万ｔをそのまま生産数量目標として設定している。<br />　このように必ずしも需要見通しから削減して生産数量目標を設定してきているわけではないことから、食糧部会では「考え方を整理する必要があるのではないか」（冨士重夫・ＪＡ全中専務理事）との意見が出た。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a onclick="window.open('/closeup/assets_c/2011/12/closag1112060402-8648.html','popup','width=550,height=834,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false" href="/archive03/closeup/assets_c/2011/12/closag1112060402-8648.html"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/assets_c/2011/12/closag1112060402-thumb-550x834-8648.gif" alt="24年産米の生産数量目標" width="550" height="834" /></a></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆消費拡大の取り組みどう反映？</span></strong></p>
<p>　また、「いざというときにどうまかなうのかを考えると、生産数量目標を下げることに不安を感じる」といった指摘のほか、消費拡大の取り組みを行っているのだから「需要トレンド自体に消費拡大の取り組みを反映させるべきではないか」との意見も。<br />　実際、米飯給食実施回数は週あたり平均2.9回（平成18年）から3.2回（21年）と増えているほか、増加傾向を見せていた朝食欠食率も20年から21年にかけてわずか1.2ポイントではあるが低下した。　また、総務省の家計調査によると今年10月の家庭における米の購入量は対前年同月比で13.2％もの伸びを示した。新米が出回る10月は例年、いちばん購入量の多い月だが、今年は例年より大きく増えた。<br />　農水省によると、その要因についてはまだ分析できていないとのことだが、現在の需要量見通しの算定は消費減退を「追認しているようなもの」（廣瀬博・住友化学副会長、日本経団連農政問題委員会共同委員長）との指摘や「やりがいのある農業となるようなシステムづくりに力を入れてほしい」（村松真貴子氏・食生活ジャーナリスト）といった意見もふまえる必要がありそうだ。<br />　食糧部会で農水省は生産数量目標の設定について考え方を整理する必要があるとの見方を示したが、基本的には６月末の民間在庫量（<strong>表</strong>）をもとにする方針を示した。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a onclick="window.open('/closeup/assets_c/2011/12/closag1112060401-8645.html','popup','width=800,height=568,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false" href="/archive03/closeup/assets_c/2011/12/closag1112060401-8645.html"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/assets_c/2011/12/closag1112060401-thumb-500x355-8645.gif" alt="主食用等生産量、需要実績・民間在庫の推移" width="500" height="355" /></a></span></p>
<p>（<strong>※</strong>　&uarr;クリックすると大きくなります）</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆県内・県間調整も課題</span></strong></p>
<p>　24年産米の都道府県別の生産数量目標は表のように配分された。　配分にあたっては17年から22年までの過去６年間のうち、最高と最低の実績を除いた４年の平均値から都道府県別のシェアを算出して配分することが基本だが、24年産については▽生産調整を超過達成したことによる生産数量目標の減少分、▽県間調整の&ldquo;出し手&rdquo;となったことによる生産数量目標の減少分、▽これまでに政府売り渡しをした備蓄米の数量分などを配慮して配分された。<br />　そのうえで生産数量目標は県間で数量目標の調整が行われてきた。具体的にはたとえば大豆生産に力を入れる佐賀県は「出し手県」となり、それを新潟県などが「受け手県」となって主食用米生産を増やしてきた。<br />　23年産では東日本大震災の津波被害と原発事故による作付け制限などによって、宮城、福島両県はそれぞれ県内で調整を行ったが、それでも調整できなかった分を２県合計約４万6000ｔ分を調整希望数量として全国に提示、その結果、北海道をはじめ12道県が引き受け、２万7000ｔ分が作付けされた。<br />　結果的に大震災による影響で作付できなかったのは２万ｔ程度にとどまり、農水省は全体の需給には大きな影響を与えなかったとしている。<br />　24年産についても、とくに福島県では作付け制限が行われる見込みのため、県内・県間調整が必要となりそうだ。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆放射能の安全基準問題</span></strong></p>
<p>　原発事故による放射性物資の放出で福島県では４月に約9000haで作付け制限された。米の放射性セシウムの暫定規制値は500bq／kg。セシウムは土壌から玄米に10分の１が移行するとされたことから、土壌中濃度5000bq／kg以上の水田が作付制限の対象となった。<br />　さらに東北・関東で作付けされた米については、土壌中のセシウム濃度が高い（1000bq／kg以上）市町村で（１）予備調査（収穫前の立毛段階での濃度測定）、（２）本調査（収穫後の濃度測定）を行い福島市で１点のみ暫定規制値超が検出されたが、他は安全が確認されたとして福島県は10月に安全宣言をした。<br />　ところが、11月になって福島市で1000bq／kgなどの暫定規制値を超える米が収穫されていたことが判明し出荷制限が行われる事態となっている。<br />　福島県では福島市大波地区で全袋検査を実施しているほか、暫定規制値を超えた米が検出された水田が山際に接していたことなどから類似の条件にある水田が多く点在する６市21市町村で全戸検査するといった緊急調査を行っている。<br />　こうした事態を受けて年度当初の作付け制限区域の設定の仕方に問題があったのではないかなど、今後、安全確保策、検査体制などの見直しがなされそうだ。そのうえで、かりに作付け制限区域が広がれば24年産米での県内、県間調整などで新たな課題を抱えることになる。<br />　また、出荷制限米の今後の扱いも課題となる。<br />　ＪＡ全中の冨士専務は食糧部会で、セシウムで汚染された稲わらが未だに処分が決まっていないことを指摘し、出荷制限米についても「国が責任を持つべき」と強調した。農水省は国が処分する方針であると回答した。ただし、賠償はその他の被害と同様、東電に求めることになるとした。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆需給にも影響を与える放射能問題</span></strong></p>
<p>　さらに生産・流通に影響を与えかねない問題に、厚生労働省が検討している放射性物質の暫定規制値の見直しがある。<br />　現在の暫定規制値500bq／kgを100bq／kgに引き下げる方向も検討されているとされており、かりにこうした引き下げが行われると作付け制限の拡大にもつながりかねない。<br />　また、厚労省は新たな規制値の適用を来年４月１日から実施することを検討しているが、そうなれば24年産の作付けだけではなく、今後販売されていく23年産米にも影響を与える。１年１作の米について杓子定規に新年度から新基準を適用するのは混乱を招く。この問題について農水省は経過措置などにつき厚労省と協議をしていく方針を示した。<br />　一方、食糧部会で卸業者の団体、全米販（全国米穀販売事業共済協同組合）の木村良理事長（木徳神糧取締役会長）は「放射能問題がすでに需給に影響を与えている」と指摘した。前号でもレポートしたがＪＡ全農のまとめによると10月末時点の連合会集荷実績は前年同期比で90％、出荷契約対比では61％にとどまっている。<br />　木村氏も「作況101にも関わらず、集荷は非常に悪い」と実状を話し、その要因として放射能の影響がない安全性が確認された地域の米には、&ldquo;いつでも売れる&rdquo;との判断があり出荷が遅れているのでは、と指摘した。実際、卸業者と播種前契約したにも関わらず、今の段階になって米が集まらないため一部を契約解消してほしいと声も出ている例があるという。<br />　安全宣言をした後に福島県では暫定規制値を超える米が確認され検査体制にも不信が広がっている。その結果、安全とされる米の価格が上昇、木村会長は「それが消費減退につながらないか」と懸念も表明、国が責任を持って米の安全性を保障する体制づくりが問われていると強調した。</p>]]>
        

    </content>
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<entry>
    <title>パルシステムの「媒体改革」　　多様化する消費者像にどう対応するのか</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="/archive03/closeup/foodbiz/2011/foodbiz111114-15390.html" />
    <id>tag:www.jacom.or.jp,2011:/closeup//6.15390</id>

    <published>2011-11-14T07:46:37Z</published>
    <updated>2011-11-14T08:05:17Z</updated>

    <summary>　いまや生協事業を支える大きな柱である個配事業を開発するなど、生協の中でも独自の路線を歩んできたパルシステム生協連で、いま大きな変化が起きている。それはこのパルシステムを支えてきた３媒体戦略の変更という「媒体改革」だ。
　なぜいま「媒体改革」なのかを、パルシステム商品本部の栗田典子副本部長に取材した。</summary>
    
        <category term="フードビジネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p><strong><span style="color: #008000;">◆生活者のライフステージに合わせた３媒体</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span>　パルシステムは、2001年６月に、20代後半の若い夫婦とはじめての赤ちゃんがいる家族に向けた「yumyum」（ヤムヤム）、育ち盛りの子ども中心の慌しい毎日をおくるファミリー層向けの「my kitchen」（マイ・キッチン）、子育てを終え自分たちの楽しみを追求する夫婦向け「kinari」（きなり）の３媒体体制をスタートする。<br />　団塊の世代の一回り上の1930年代後半生まれである「第一次専業主婦層」が、高度成長経済の負の面である公害問題、急速に普及した合成洗剤に対して安全性の確認された石鹸とか、食品の安全性を求めて70年代の生協の形成に影響を与え、共同購入が大きな運動になる。この世代が80年代に入り子育てを終了したことで共同購入が頭打ちになり、生協の事業が転換を迫られてくる。<br />　そうしたなか90年に個人宅配（個配）事業がパルシステムの前身である生協で開発され、「個配を伸ばすことで、育ち盛りの子どもがいるファミリーだけでなく、出産したての若年層が入りやすくなり、組合員の幅が広がる」（栗田典子商品本部副本部長）。<br />　96年には個配専用の「パルマート」というカタログを作り、この媒体を通じて、単に商品を並べるだけではなく、「生活者の目線に立って商品の使い方やレシピを盛り込んだ編集スタイルを確立」する。そして、冒頭に紹介した組合員のライフステージに合わせた3媒体がスタートする。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆テレビＣＭ効果もあって「大衆化」を促進</span></strong></p>
<p><br />　３媒体導入の最初の５年間は、新しいコンセプトの「yumyum」と「kinari」が牽引して「毎年、高い水準で受注人数が増加」。「yumyum」は赤ちゃんができたばかりの世帯にいち早くアプローチすることで新規加入を牽引。「kinari」は子育てが終わった層の「my kitchen」からの移行もあったが、他生協からの流入やいままで生協に縁がなかった層の加入も促進し、高い伸張率をキープしたという。<br />　03年には全配送トラックに牛のキャラクター「こくせんくん」を配すると同時に、ばらばらだった各地域のロゴを統一。さらに05年からテレビCMを放映開始し、生協に関心がなかった層の加入が増える「大衆化」が進む。<br />　ところが08年以降この傾向が停滞する。とくに３媒体体制導入以降受注人数伸張を牽引してきた「yumyum」の受注人数が09年には前年比ほぼ100％になり、10年には前年を割り込んだ。その反面、「kinari」の受注人数は「いまだに高い伸びをみせている」。<br />　このことが今回「媒体改革」を進めることになった直接の原因だと栗田さんはいう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆画一的には捉えきれなくなってきた消費者像</span></strong></p>
<p><br />　図は、09年２月と10年12月の３媒体別年齢構成を表したものだ。わずか22カ月の経過なのにいずれの媒体もピークが右（年齢が高い方）へシフトしている。<br />　さらに「yumyum」と「my　kitchen」がともに「30代後半の団塊ジュニアがボリュームゾーンを形成」している。当初想定していた前者が後者より「若い」とはいえなくなり「画一的には捉えきれなくなってきた」。<br />　この層は「きわめてシンプルかつ節約志向」が強く、百貨店よりはお手ごろ価格で買える小売店を利用したり、「ママ友とのランチも高級フレンチではなく、自宅に招いて手料理を持ち寄る」など、新しい消費スタイルを作ってきた世代だといえる。そして「節約をするだけではなく、子どものためにはお金を出し惜しみしない」など「賢い消費者」としての面ももっている。<br />　さらにかつての「20代後半で結婚して子どもが２人の４人家族。終身雇用で教育から家や車を購入して」という標準世帯のイメージが崩れていることも背景にはある。<br />　女性の結婚年齢が高くなり、40歳以上で出産した女性は05年に47年ぶりに２万人を超え、09年には３万人を超えたと厚労省調査は伝えている。<br />　さらに「経済成長が完全に止まって見通しがたたず、就職も困難になり結婚とか家族を持つということが描きにくくなり、単身層・未婚層や子どもを持たない夫婦が増えている」と栗田さんは指摘する。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆会社はリタイアしたが活力ある団塊の世代</span></strong></p>
<p><br />　一方「kinari」の層はどうか。かつて生協の活動を支え、日本の高度経済成長や消費社会のまっただ中でその「豊かさと便利さを享受」、「団地の普及」もあって近所付き合いより「核家族第一世代」として「家族・子どもを重視する」暮らしをおくり「前世代からの継承ではなく、メディアによってもたらされる情報によって育った」団塊の世代が、「会社はリタイアしたけれどまだまだ活力」があり、地域のボランティアに積極的に参加したり、スポーツジムで健康づくりに励んでいたりする。<br />　10年後には70歳になるが、いまだ気持ちが若く健康的な生活をおくる「とんがった」大人中心の世帯により満足いく商品の充実をどうはかるかが大きなテーマになる。そして子育てを終えた層からのシフトだけではなく、子どものいない「若い夫婦のみの世帯にも応えることも視野に入れる」必要があるという。<br />　「kinari」では、子育てが終わったあと、あるいは一人の人間としてどう暮らすのかとか、社会性の高い話題を提供しているので、これに共感する若い世代もいるからだ。それは、図をみると「kinari」の利用者は60<span style="font-size: 7.5pt; color: black; font-family: &quot;ＭＳ 明朝&quot;,&quot;serif&quot;; mso-ascii-font-family: Verdana; mso-hansi-font-family: Verdana; mso-bidi-font-family: 'Times New Roman'; mso-font-kerning: 1.0pt; mso-ansi-language: EN-US; mso-fareast-language: JA; mso-bidi-language: AR-SA;">〜</span>70代にボリュームゾーンがあるが、30<span style="font-size: 7.5pt; color: black; font-family: &quot;ＭＳ 明朝&quot;,&quot;serif&quot;; mso-ascii-font-family: Verdana; mso-hansi-font-family: Verdana; mso-bidi-font-family: 'Times New Roman'; mso-font-kerning: 1.0pt; mso-ansi-language: EN-US; mso-fareast-language: JA; mso-bidi-language: AR-SA;">〜</span>40歳代の利用者が多いことでもわかる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆２媒体土台にオプションで個別対応</span></strong></p>
<p><br />　これまでの３媒体では捉えきれない「いろいろな家庭、子どもがいない家庭、そして会社をリタイヤした年齢の高い層の増加」にどう対応するのか。<br />　栗田さんは「カタログ情報の代表であるレシピも、組合員の経験や食体験が違うので、同じ肉でもベテランと食べ盛りの子どもがいる家では、ボリューム感や味付けが異なる」ように「同じ商品でも量目・味付けなど、一人ひとりにできるだけふさわしい商品を提供する」つまり媒体を４とか５媒体にし「複数のお店」をもつことが基本ではあるという。<br />　しかしそれは組織体制や事業コストの面で難しい。そこで考えられたのが、「土台となる媒体」を２つに整理し、そのうえに、たとえば赤ちゃんがいる人には、新「yumyum」をオプション媒体として提供するなど、個々のニーズに対応したオプションを提供することで「結果として個人対応が進んでいる状態」にすということだ。<br />　このオプションは紙媒体もあるが、ネットの活用も視野に入れている。赤ちゃん向けの「子育て応援サイト」では、登録の際に赤ちゃんの誕生月で登録する。そのことで、予防接種とか離乳食をはじめる時期など基本的な悩みが共通しているので、役立つ情報交換ができる。さらに３カ月早く生まれた子の情報をみることもできるので、先の見通しも立てやすくなるなどが考えられる。<br />　こうした単なる商品情報を超えた、「深い諸情報の提供」やSNSなどによるコミュニケーションなど、ネットを活用した成功事例を「子育て応援サイト」でつくり、他の層にも展開していくことを考えている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆これからの試金石として注目</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1111140101.jpg" alt="「yumyum」と「my　kitchen」を統合した「コトコト」" width="181" height="267" /></span>　現在は、「yumyum」と「my　kitchen」を統合した「コトコト」をこの９月からスタートし、「kinari」については来年４月から新しい「kinari」としてスタートする準備を進めている。さらにオプション媒体として赤ちゃん向け情報や商品による「yumyum」を必要な人に提供している。<br />　さらに10月からこれまでそれぞれのカタログで紹介してきた書籍やCD、DVDの新カタログ「Lib.」（リブ）を月１回発行している。<br />　多様化する消費者とそのニーズということがさまざまな場面で語られることが多い。その多様化した消費者に具体的にどう対応するのか。パルシステムの「媒体改革」はその一つの試金石といえる。まだその緒についたばかりで、走りながら必要な改革を付加していくことになるだろうが注目していきたい。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a onclick="window.open('/closeup/assets_c/2011/11/closfo11111402-8472.html','popup','width=906,height=537,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false" href="/archive03/closeup/assets_c/2011/11/closfo11111402-8472.html"><img class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/assets_c/2011/11/closfo11111402-thumb-500x296-8472.gif" alt="closfo11111402.gif" width="500" height="296" /></a></span></p>
<p><strong>※</strong>クリックすると大きく表示されます</p>]]>
        

    </content>
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    <title>【23年産米の生産・流通】　作柄は平年並みでも先行きに不透明感　　23年産米の作況、平年並みの「101」（９月15日現在）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="/archive03/closeup/agri/2011/agri111003-15032.html" />
    <id>tag:www.jacom.or.jp,2011:/closeup//6.15032</id>

    <published>2011-10-03T06:50:14Z</published>
    <updated>2011-10-03T06:56:05Z</updated>

    <summary>　農林水産省は９月28日、23年産米の９月15日現在の作柄概況を発表した。全国平均の作況指数は平年並の「101」となった。作況指数が100以上となったのは３年ぶり。
　作柄は平年並みとなったが、今年は福島第一原発事故による放射性物質の影響が心配され、検査の対象となった産地では予備検査、本検査が続き出荷もままならない状況にある。また、安全性が証明されたとしても風評被害も懸念され、生産現場では不安がぬぐえない状況だ。作柄概況の解説とともに各地のＪＡ米担当者の取材から23年産の生産と流通の情勢と課題などを探る。</summary>
    
        <category term="農政" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #c1463e;">福島など産地、原発事故にあらためて怒り</span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆３年ぶりに作況100を超す</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closag1110031302.jpg" alt="23年産米の生産・流通" width="260" height="173" /></span>　23年産米の生育は、全国的に５月下旬から６月中旬にかけて日照不足の影響がみられたが、その後の天候がおおむね順調に推移していることから、全国の10aあたりの予想数量は535kgで、作況指数は101と見込まれた。<br />　地域別にみると北海道は全もみ数（１平方ｍあたりのもみ数）は少なくなったものの、７月以降はおおむね天候に恵まれ登熟は順調に推移。８月15日現在の作柄も良くなり、作況指数は「やや良」の105が見込まれている。<br />　東北は、５月下旬から６月上旬にかけての低温と日照不足で分げつが抑制されたものの、７月上旬から中旬にかけて気温・日照ともおおむね平年を上回り、８月以降も気温が平年を上回っていることから101が見込まれている。<br />　そのほか、北陸101、関東・東山100、東海100、近畿99、中国102、九州101となっている。沖縄の第一期稲は80となった。<br />　今回の作柄調査は台風12号の上陸・通過後に実施されたが、冠水や倒伏などによる作柄への影響は一部地域にとどまり、大きな影響はなかったという。また、台風15号の影響は10月15日現在の作柄調査に反映されることになるが、農水省によると「１ポイントまで下げるかどうかの限定的な影響ではないか」と見込んでいるという。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆過剰作付けが大きく減少</span></strong></p>
<p><br />　青刈り面積を含む23年産水稲の作付け面積は163万2000haで、前年産にくらべて２万5000ha減少の見込み。津波被害の大きかった宮城県では6500haの減少で、津波に加え原発事故による作付け制限なども行われた福島県は１万5400haも減少している。<br />　青刈り面積を含めた作付け面積から、加工用米と飼料用米、米粉用米など新規需要米、さらに備蓄用米の作付け面積を差し引いた主食用の作付け面積は152万6000haで、前年産にくらべて５万4000haの減少となった。<br />　23年産の生産数量目標は795万tで、これを面積換算すると150万4000haとなる。主食用作付け面積152万4000haとの差は２万2000haで、これが過剰作付け面積となる。前年産の過剰作付け面積は４万1000haだったため、23年産では１万9000ha減少したとみられる。<br />　主食用作付け面積に予想収量535kg／10aをかけた予想収穫量は815万9000tとなる。23年７月から来年６月までの１年間の主食用需要量は805万tが見込まれており、約11万t程度が過剰となりそうだ。今年６月末の民間在庫は182万tで過剰分がそのまま積み上がれば来年6月には192万t程度となる。ただし、22年６月末在庫は216万t、21年同は212万tであったことなどから、農水省は需給に大きな変化が出るものではないとの見方を示している。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1110031301.gif" alt="平成23年産水稲の作付面積など" width="389" height="693" /></span></p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆22年産米の在庫は解消</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span>　ＪＡ全農が公表している米をめぐる情勢によると、玄米価格は東日本震災の影響と原発事故の終息が見通せないことから、22年産の玄米の市況価格は大幅に上がっている。<br />　たとえば、福島産コシヒカリの９月上旬の相対取引基準価格は60kg１万3100円だったが、市中価格は１万9000円と5900円も高い取引が行われている。その他の銘柄も市中価格は相対取引基準価格よりも5000円から１万円も高く取引されている。<br />　ＪＡの担当者の話は、どの産地も22年産米の在庫は「ほぼゼロ」や「倉庫に少し米はあるがすべて契約済み」などだった。昨年のこの時期は21年産米の在庫を抱えさらに新米の集荷が迫るというなか、「倉庫をどう手配するか頭を抱えている。こんなことは初めて」といった声をレポートしたが、「倉庫の風景は様変わりしました」（北海道のＪＡ）という。福島県内のＪＡでも直売所などで買いだめの動きもあったという。<br />　こうしたなか23年産米の販売がスタートした。全農は相対取引価格を昨年同時期より60kgあたり1000円<span style="font-size: 7.5pt; color: black; font-family: &quot;ＭＳ 明朝&quot;,&quot;serif&quot;; mso-ascii-font-family: Verdana; mso-hansi-font-family: Verdana; mso-bidi-font-family: 'Times New Roman'; mso-font-kerning: 1.0pt; mso-ansi-language: EN-US; mso-fareast-language: JA; mso-bidi-language: AR-SA;">〜</span>2000円以上高い１万2900円<span style="font-size: 7.5pt; color: black; font-family: &quot;ＭＳ 明朝&quot;,&quot;serif&quot;; mso-ascii-font-family: Verdana; mso-hansi-font-family: Verdana; mso-bidi-font-family: 'Times New Roman'; mso-font-kerning: 1.0pt; mso-ansi-language: EN-US; mso-fareast-language: JA; mso-bidi-language: AR-SA;">〜</span>２万2000円を基準価格として提示しているが、市中での取引価格はさらに1000円<span style="font-size: 7.5pt; color: black; font-family: &quot;ＭＳ 明朝&quot;,&quot;serif&quot;; mso-ascii-font-family: Verdana; mso-hansi-font-family: Verdana; mso-bidi-font-family: 'Times New Roman'; mso-font-kerning: 1.0pt; mso-ansi-language: EN-US; mso-fareast-language: JA; mso-bidi-language: AR-SA;">〜</span>2000円程度の高値で推移している。<br />　九州のＪＡ担当者によると提携関係にある卸業者などからは早めの出荷や、例年よりも取引量を増やしたいとの意向が伝えられており、「玉の確保を急いでいる感じだ」という。<br />　北海道のＪＡからも「いくつか新規の業者が産地に現れ取引きの依頼もあった」と話す。<br />　各地域とも23年産米の概算金は昨年より60kgあたり1000円から2000円程度引き上げている。とはいえ、相対取引価格ベースでみれば21年産は１万4000円台、20年産は１万5000円台で推移したことを考えると「23年産の価格水準が戻ったとはいいがたい」（九州のＪＡ）のが実態で、生産者からすればまだまだ低米価であるというのが実感だ。<br />　実際、玄米価格は上昇しているが末端の精米価格は上がってはいない。総務省の小売物価統計によると今年７月の５kg価格は2003円（単一原料米）。昨年７月が2141円だからむしろ下がっている。<br />　しかしながら、玄米価格としては上昇しているため、生産者のなかには「もっと上がるのではないかとの期待が頭をよぎっている人は多い」（秋田県のＪＡ）という。とくに今年は放射性物質の影響が懸念されるため、「検査の結果、安全が確認された地域では、農家から高値で買い付けようとする動きもある」（同）という。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆産地づくりと品質向上こそ</span></strong></p>
<p><br />　こうした震災と原発事故の影響を見込んで米流通の業界では、西日本の米の引き合いが強くなるのでないかと言われきた。<br />　実際、九州のＪＡの担当者はすでに触れたように新規業者も含めて販売の依頼があったという。また、これまで取引きのあった業者からも販売量を増やす依頼などもあるという話だ。「昨年とはまったく販売環境は違う」。<br />　ただし、一様に新規業者との取引きを積極的に進めることはしないという。福岡県のＪＡでは集荷する米の７割以上が収穫前契約などですでに販売先との結びつきが決まっているという。「特別な販売活動はせず、安定供給することが大事」という。また、販売価格についても市況価格に合わせた価格交渉を進める方針だが、価格引き上げにともなう消費者の米離れを懸念する声もあった。販売担当者は実感として「５kg2000円を目安に消費者がどう反応するか」が気になるという。<br />　また、23年産米へのニーズがいくら高くても、麦、大豆を含めた水田農業全体として安定させることが変わらない基本だとするＪＡ担当者の指摘もあった。こうした取り組みのなかで、主食用米の生産は「品質を向上させ、継続的に取引きをしてきた販売先に約束どおりきちんと安定供給していくことだけを課題としている」とある九州のＪＡ担当者は強調した。<br />　震災と原発事故の影響で西日本の米に対する引き合いが強くなったとされているが、産地のＪＡでは、契約栽培的な取引を拡大するなど、「作ってから売る」から「売り先を決めてから作る」という取り組みをこれまでに着実に進めてきていることが改めてうかがえた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆原発事故の影響、不安ぬぐえず</span></strong></p>
<p><br />　一方、被災地の現状はどうか。本紙では６月に宮城県のＪＡいしのまきを取材し津波にあった農地を除塩し米の作付けを継続させた生産者をレポートした（<a href="/archive03/series/cat135/2011/cat135110711-14234.html">関連記事</a>）。「絶対に米を収穫する」と語っていた北上川沿いの農地で田植えを行った中野集落の米の生育は、ＪＡによると順調に生育、台風15号の影響で刈り取り作業は遅れたが10月初めには収穫できる見込みだという。<br />　ＪＡいしのまきとしての米初検査は９月26日に迎えた。１等比率は85％だったという。津波被害で壊滅した農地も多くＪＡの集荷量は例年の９割程度にとどまる見込みだが、県本部を通じた販売契約はこれまでと同様に継続して取引される見込みだという。<br />　ただし、福島県では不安はぬぐえない。県全体の作況指数は天候もおおむね良好で102が見込まれている。県内のあるＪＡには例年より30％以上も多く生産者からの出荷契約が積み上がっているという。<br />　しかし、放射性物質の予備調査、本調査の結果を待たなければ出荷はできない。一部地域の予備調査で暫定規制値を超えたセシウムが検出されたため、今後の結果が注視される（関連記事「<a href="/archive03/news/2011/09/news110926-14955.html">予備調査で500ベクレル／kg超を１点検出　福島県の米調査</a>」）。<br />　同ＪＡでも22年産米については直売所で売るものも不足する状況だったが、23年産については不透明だ。とくに暫定規制値以下の微量の検出だったとしても、その安全性に消費者の理解が得られるかどうかが気がかりだという。<br />　ＪＡへの出荷量は増える見込みだけに、保管・管理に加えて販売努力も例年以上に求められる。そのために少しでも早く販売努力をしたいところだが、検査結果待ちで「販売への取り組みは遅れているのが実情」だと打ち明ける。<br />　また、22年産米が相当に買いだめされているとすると、23年産米の安全性が確認されて出荷できても「販売進度が遅くなるのではないか」との懸念もある。<br />　別の東北のＪＡ担当者は「例年は作柄と品質で、ある程度、米販売の先が見えたが、今年は放射能問題で先が見えない。米検査が始まって１週間たったが、さまざまな問題を考えてしまい、これほど長く感じた１週間はなかった」と話していた。</p>]]>
        

    </content>
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    <title>[米の先物取引問題]　主食をマネーゲームに放りこむのか</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="/archive03/closeup/agri/2011/agri110810-14540.html" />
    <id>tag:www.jacom.or.jp,2011:/closeup//6.14540</id>

    <published>2011-08-10T02:35:04Z</published>
    <updated>2011-08-11T00:25:21Z</updated>

    <summary>　東京穀物商品取引所と関西商品取引所は７月19日、米の先物取引の試験上場を８月８日に開始すると発表した。７月１日に鹿野農相が両取引所から出されていた申請を認可したことを受けたもので、試験上場は２年間実施される。
　ＪＡグループは、戸別所得補償制度を中心とした現在の米政策は生産調整を誘導して米の価格と需給の安定を図ろうという政策で、これと先物取引とは整合性がとれないこと、さらに主食の米を投機家が９割を占めるというマネーゲームに委ねることは食料安全保障の点からも大問題であるなどとして、断固反対してきた。今後も本上場の阻止に向けて運動を展開していく。今回は米の先物取引の問題点を考えてみる。</summary>
    
        <category term="農政" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #ff0000;">先物取引、参加者の９割が投機家</span></span></strong></p>
<p style="text-align: center;"><br /><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="color: #ec7212;">相場の乱高下で生産者、<br />経営破綻のおそれも</span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆リスクヘッジ機能とは？</span></strong></p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span>　先物取引とは、１か月から６か月先の価格を現時点で約束する取引である。現時点では価格や数量だけを約束しておき、実際の取引は、６か月先の約束であればその期限が来た日に行う。<br />　たとえば、播種前の４月の時点で10月渡しの米を60kg１万4000円で売り注文を出す。この価格で取引が成立すれば、10月時点で同１万4000円で販売することになる。<br />　このとき、現物市場の価格が同１万2000円であれば値下がりによる損を避けることができた、ということになる。<br />　ただし、現物価格が同１万5000円に上がっていたとしても先物取引では約束どおり１万4000円で販売しなければならない。したがって現物相場より1000円低い価格での販売に甘んじなければならないが、当初予定した価格では販売できたことになるから「農業収入の安定化につながる」というのが東京穀物商品取引所、関西商品取引所などの説明だ。<br />　さらに農産物は工業品にくらべて天候や作柄によって需給と価格が変動する、まさに先物取引に適した商品であるとし、「将来の不確定要素を排除する」、すなわちリスクヘッジができると強調している。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1108100701.gif" alt="米の先物取引問題" width="400" height="404" /></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆主流は差金決済</span></strong></p>
<p>　商品先物取引は一定の時期に必ず商品と代金の受け渡しを約束する取引である。その「決済の期限の月」のことを「限月」（げんげつ）という。<br />　今回、発表された米の試験上場は11月限（ぎり）、12月限、１月限の３回の取引が行われる。決済の日を納会日といい、東京は限月の20日、関西は10日と設定されている。<br />　商品先物取引が株式などの金融商品と異なるのは、この納会日に必ず決済をしなければならない点だ。株式であれば期限を区切って売買しなければならないことはなく、相場を見ながら持ち続けることが可能である。<br />　その決済の方法は現物による受渡決済でなくてもいい。「反対売買」による「差金決済」もできるというのが特徴だ。<br />　反対売買とは売り契約をしていたなら買い契約を、買い契約をしていたなら売り契約をする、というように当初と反対の取引をすることである。<br />　先の例でいえば４月時点で10月に60kg１万4000円の売り契約をしていたが、７月に先物市場が同１万3000円に下がったとする。この時点で１万3000円の買い注文を入れて取引が成立すれば１万4000円との差額、1000円の差金決済によって10月を待たずに取引を終わらせることができるというものである。<br />　高く売って安く買い戻したこのケースでは1000円の利益を得たことになる。<br />　一方、現物市場の価格もこの先物相場に連動して１万3000円になり、自分の米も出来秋にはその価格で売らざるを得なかったとしよう。<br />　しかし、すでに先物取引で得た1000円の利益を加えれば、当初の予定どおり１万4000円で販売できたのと同じことになるではないか、というのも商品取引所の説明である。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆投機家が９割の市場</span></strong></p>
<p>　この「差金決済」とは先物取引に設けられた特有の制度である。ということは、現物の受け渡しなどせず、さらに言えば最初から現物など持たず、市場で売買することができるということである。<br />　その狙いは価格が乱高下することを利用して利益を追求することであり（スペキュレーション取引）、その方法が反対売買なのである。<br />　実際、先物取引入門的な文章を読めば、「価格が上がると予想したら『買い』から入ろう！」、「価格が下がると予想したら『売り』から入ろう！」などというアドバイスが並んでいる。<br />　たとえば、ある先物商品が上がると予想して１万円で買い注文し、実際に１万2000円に上がり、その時点で売り注文（転売）が成立すれば2000円の差金決済（＝利益）で取引を終えることができる。<br />　また、下がると予想した場合は、先の米の例で示したように「売り」から入って「買い」に転ずれば利益となる（下の図）。「安く買って高く売る、高く売って安く買う」のが反対売買で利益を出す原則となる。しかし、やっていることは「空売り」だ。<br />　このように「売り」でも「買い」でも参加できることからも分かるように、実際、先物市場の参加者は「当業者」（農家や卸業者など）は少なく価格の乱高下で利益を得ようとする投機家が９割を占めると言われている。<br />　先物取引での現物の受け渡し決済の割合は、平成18年度0.1％、平成19年度0.2％などと1％以下。差金決済が圧倒的に多いのが実態である（商品さきもの知識普及委員会ＨＰ資料）。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/closag1108100702.gif" alt="差金決済の例" width="500" height="271" /></span></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆本当にリスクヘッジになるのか？</span></strong></p>
<p>　ここでは差金決済で利益が出るケースを取り上げてみたが、もちろん逆に膨大な損失が発生する場合もある。そのため取引に参加するためには、担保金として証拠金を取引所に預けなければならないことになっている。<br />　今回の米の試験上場では東京は１枚の取引で最低６万円と発表された。「１枚」とは最低取引単位のことで東京は100俵（6000kg）とされている（関西は１枚50俵、証拠金2.3万円）。<br />　東京穀物商品取引所によれば、この証拠金は最低額であって参加者の信用度などによって商品取引員が個別に引き上げることができることになっているという。<br />　それにしても６万円あれば米100俵の取引に参加できることになる。かりに米価が１万3000円だとすれば100俵なら本来は130万円のお金が必要になるところだ。しかし、先物取引では取引総額の資金を用意する必要がなく、手持ち資金よりも大きな取引を行うことができる。まさに金融用語で言う「レバレッジ（lever＝てこ）をかける」である。そして利益を得る場合もあるだろうが、損失が証拠金を上回る額になることもある。損失が一定水準を超えた場合は追証拠金が求められることになっている。<br />　このようにハイリスクハイリターンの世界に参加する投機家はどのような行動を取るだろうか？<br />　投機家は差金決済で利益を得るための原則どおり「できるだけ安く買って高く売る」ことが狙いだ。一方、生産者とすれば生産費から積み上げた手取り価格を考えて売り注文を出したいが、買い手がつかなければ契約は成立しない。あるいは価格を引き下げて契約を成立させるしかない。ここは現物市場と同じである。<br />　つまり、生産者が望む再生産価格の実現は容易ではなく、本当にリスクヘッジになるのか疑問だ。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆大きい米価下落の恐れ</span></strong></p>
<p>　また、投機家は先物市場で米を買おうと思っているわけではない。空売りで利益を得ようというのが目的である。<br />　ただし、先物取引は先にも触れたように決まった期日に取引を決済しなければならない。<br />　かりに６か月後を限月とした買い注文で60kg１万3000円、100俵を契約したとする。狙いはこの価格より値上がりしたら転売して差金決済で利益を得るということである。<br />　しかし、先物価格が思うように上がらず、一方では取引期限が迫ってきた、となるとどうなるか。このままでは100俵もの米を現物で引き取らなくてはならなくなるから「安くてもいいから売ってしまおう」となりかねない。<br />　現物の引き取りを恐れるあまり、限月が近づくにしたがって価格を下げる投機家が出て、そうした行動が現物市場の価格下落につながる恐れがある。こうした投機家の行動が多くの生産者に大混乱をもたらす、とＪＡグループは警戒している。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆「売り方勝手渡し」の原則</span></strong></p>
<p>　もうひとつ先物取引の原則に「売り方勝手渡し」の原則がある。これは銘柄や受け渡し場所などについては取引所が指定する条件で売り手に選択権が与えられるというもの。現物市場では買い手のニーズに沿って現物の受け渡しが行われるが先物はそうではない。<br />　今回の試験上場では東京では取引対象銘柄（標準品）は「関東コシヒカリ」（千葉・茨城・栃木県産）で関西は「北陸コシヒカリ」（石川・福井県産）とされた。<br />　そのほか受け渡し供用品として東京は新潟コシヒカリなど19銘柄、関西は31銘柄を指定している。これらには等級の違いも含め標準品とマイナス3600円から＋2100円の価格差を公表している。新潟コシヒカリでは＋2000円だ。<br />　ただし、現物決済時に、2000円を上乗せすれば買い手は新潟コシヒカリを手当できるとは限らない。売り先勝手渡しでは、どのような銘柄がどこでいつ渡されるかか分からないというのが原則だからだ。受け渡し場所は取引所が指定する営業倉庫となっている。売り手として現物受け渡しで決済するにしても、この指定された倉庫に運搬することが求めらるし、その他、手数料もかかる。<br />　それ以上に、この売り先勝手渡しの原則とは、消費者ニーズに合わせて産地・銘柄ごとに仕入れて販売するという日本の流通実態とはかけ離れたものであることが分かる。</p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆需給と価格の安定こそ</span></strong></p>
<p>　ＪＡグループは米の先物取引の導入は試験上場であっても断固反対してきた。<br />　先物取引は平成17年の申請では不認可となっている。当時の農水省の理由は「生産調整への参加を誘導している政策との整合性が保てない」というものだった。<br />　この点については現在も変わっていないというのがＪＡグループの主張だ。戸別所得補償制度によって、米価は市場に委ね所得を直接支払いするという制度に転換したとされるが、この制度は国が生産数量目標を示し、それに従って生産する販売農家に交付金を交付するメリット措置を付与したものだ。その点では生産調整政策はさらに強化されたといえる。<br />　また、戸別所得補償制度では、一律の交付金に加えて、米価の下落に対して補てんする仕組みもある（米価変動補てん交付金）。<br />　先に説明したように先物取引では、現物市場の米価が下がっていても当初の予定どおりの価格で販売できる。しかし、戸別所得補償制度に加入していれば、米価変動補てん交付金も受けとることができる。これでは政策として矛盾するばかりか、国民の理解が得られるのかどうか。さらに先物市場でリスクヘッジが可能となれば、米価変動補てん交付金も必要かどうかといった議論も出かねない。<br />　また、そもそも食糧法は米の需給と価格の安定を目的としており、そのためにＪＡグループは着実な計画生産への取り組みとともに、過剰米の政府買い入れなどを求めてきている。それも米の生産と供給の「安定」のためである。しかし、米の先物取引とはここで見たように価格の乱高下によって利益を得ようとする「安定」とはほど遠い世界だ。現物取引が行われるにしても米の流通実態とは大きく異なる。<br />　何よりも世界の食料価格高騰の要因に投機資金の流入が指摘されているなか、主食をマネーゲームの対象とすることは食料安全保障の点からも大きな問題だ。<br />　また、東日本大震災によって米の主産地が大きな被害を受けている現在、復旧・復興が最優先課題であり、ＪＡグループは米の先物取引を検討すること自体が問題だと強く訴えている。<br />　今後もこうした点を幅広く内外に訴えていく必要がある。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><a onclick="window.open('/closeup/assets_c/2011/08/closag11081007032-7749.html','popup','width=714,height=536,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false" href="/archive03/closeup/assets_c/2011/08/closag11081007032-7749.html"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/assets_c/2011/08/closag11081007032-thumb-500x375-7749.gif" alt="生産者から見た先物取引シュミレーション" width="500" height="375" /></a></span><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span>（クリックすると画像が大きくなります）</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><br /><strong><span style="color: #333399;"><span style="font-size: large;">&nbsp;用語解説 <br /><br /></span></span>【反対売買】<br /></strong>　先物取引では「受渡決済」でも「差金決算」でも最初の取引の時点では現物は必要はない。そのため現物売買が目的ではない投機目的の参加者でも「売り」注文を出せることになる。<br />　受渡決済をしない場合は、反対売買による差金決済で取引を終える。反対売買とは「売り」契約の場合、その反対の「買い」注文を出すこと。これが成立すると、最初の「売り契約」に基づく「モノを渡す義務」と、その後の「買い契約」に基づく「モノを受け取る権利」が相殺されて納会日前に取引を終了することができる。その際、「売り」と「買い」の価格差を受けとる（利益）か、払う（損失）ことになる。ただし相場の状況では反対売買が成立しない場合もある。<br /><br /><strong>【証拠金】<br /></strong>　先物価格は常に変動する。取引期間中、売った時（買った時）の値段（約定値段）と、現在の先物価格との間で損金が発生した場合は現金で日々精算することになる。そのために証拠金が必要になる。相場の動向によっては証拠金以上の損失となることもある。（参考資料・ＨＰなど：商品さきもの知識普及委員会、日本商品先物振興会、東京穀物商品取引所）</p>]]>
        

    </content>
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    <title>中国農業の今―世界のハイテク野菜栽培基地めざして　　張 春侠（『人民中国』雑誌社記者）（写真：魯忠民）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="/archive03/closeup/foodbiz/2011/foodbiz110720-14285.html" />
    <id>tag:www.jacom.or.jp,2011:/closeup//6.14285</id>

    <published>2011-07-20T04:25:38Z</published>
    <updated>2011-07-22T08:49:51Z</updated>

    <summary>　昨年１年間に日本に輸入された野菜は、生鮮・加工を合わせて約250万トンで前年に比べ14％増えた。今年の１月〜５月の輸入野菜は約119万トンで前年同期比16％の増となっている。今年の増加は東日本大震災の影響と思われがちだが、「冷凍ホウレンソウ」を除いて震災の影響は少ないというのが専門家の分析だ。
　その輸入野菜のほぼ半分（10年51％、今年５月までの49％）は中国産。かつての残留農薬問題や冷凍餃子事件などの印象から、中国産野菜にマイナスイメージを持っている人はまだ多い。しかし、中国最大の野菜産地山東省にある寿光市は、最先端の農業技術をもつ野菜産地であると同時に、中国でも有数な野菜集散地として世界から注目されているが、一部の専門家を除けばまだ日本ではあまり知られていない。
　今回は「近くて遠い国・中国」をより多く知ることはこれからの日本の野菜生産にとってもプラスになると考え、「人民中国」誌の記者・張春侠氏に寿光市の最新情報をレポートしてもらった。</summary>
    
        <category term="フードビジネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p><strong><span style="font-size: large;"><span style="background-color: #808080;"><span style="color: #ffffff;">中国最大の野菜基地・山東省寿光市（じゅこうし）</span></span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;"><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1107200502.gif" alt="中国最大の野菜基地・山東省寿光市" width="300" height="265" /></span>◆「改革・開放」による経済大発展をベースに</span></strong></p>
<p><br />　中国の山東省は昔から野菜生産で知られ、「山東大白菜」（サントウサイ）のふるさととして有名だ。「大白菜」は華北地域の冬の野菜として極めて貴重な存在だった。1980年代前半までは、首都・北京の厳冬期を前にした一大行事は、この「大白菜」を大量に買い込んで、半干しにし、ベランダの隅に積み上げる作業だった。こうして保存しながら、一冬、煮たり炒めたり、餃子の具にしたり、ほとんど唯一の冬の野菜として大切に使ったものだった。<br />　それがどうだろう。「改革・開放」がもたらした経済の大発展によって、北京に限らず、中国のどの都市でも、今では一年中、さまざまな野菜をスーパーで自由に買い求めることができるようになった。全国に高速道路網が張りめぐらされ、流通が格段に発達しただけではなく、各地に野菜の大生産基地が建設され、市場をにらんだ各種野菜の生産が、一年を通して、大規模に行われる時代になったのだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆「中国の野菜の里」も最初は17のハウスから</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closfo1107200501.jpg" alt="今年の「菜博会」では８つの展示パビリオンと４つの植栽温室が並んだ。中国各地と世界から多くの人々が訪れ、交流と商談が行われた。日本からの出展も" width="300" height="199" /></span>　「中国の野菜の里」山東省・寿光市では、毎年、４月20日から５月20日まで「国際野菜科学技術博覧会」（菜博会）が開催されている。今年は第12回目で、国内外から3000を超す関係企業がブースを並べ、会期中１万人以上のバイヤーやビジネスマンが訪れて活発な商談が行われた。<br />　「菜博会」は年々規模が大きくなり、多くのハイテク栽培技術が展示されて、入場者を驚かせている。なぜ、寿光市でこのようなハイレベルの博覧会が開かれているのか。それは、寿光が中国最大の野菜生産基地であり、また中国最大の野菜集散地であるからにほかならない。<br />　寿光市は山東半島の中央北部に位置し、北は渤海に臨む。総面積は2072平方キロ。寿光が中国最大の野菜生産基地になる発端は、三元朱村で20年前に始められた「冬暖式大型ハウス」による野菜栽培だった（写真下）。<br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1107200503.jpg" alt="三元朱村の野菜栽培はこうした冬暖式大型ハウスで行われる" width="300" height="199" /></span>　1989年、三元朱村の中国共産党支部書記・王楽義さんは遼寧省に赴き、当時開発されたばかりの冬暖式大型ハウスを使った野菜の栽培技術を学んだ。このハウスは、外気が零下25度以下にならない限り、厳冬期でも石炭や重油をたかずに野菜が栽培できる。<br />　故郷に戻った王さんは、村の16人の共産党員を率いて17棟の大型ハウスを建て、キュウリの栽培を始めた。この17棟から始まって、寿光は一歩また一歩と最新の栽培技術を取り入れ、その特色ある野菜栽培の道を歩んできたのだ。</p>
<p>（写真）<br />上：今年の「菜博会」では８つの展示パビリオンと４つの植栽温室が並んだ。中国各地と世界から多くの人々が訪れ、交流と商談が行われた。日本からの出展も<br />下：三元朱村の野菜栽培はこうした冬暖式大型ハウスで行われる</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆報酬が３倍になった農業技術専門家</span></strong></p>
<p><br />　三元朱村の王万凱さんは今年56歳。大型ハウスでキュウリとニガウリ（ツルレイシ）を栽培しているが、農作業は奥さんと息子にまかせ、一年の大部分は農業技術員として中国の各地を忙しく駆け回る。これまでに新疆ウイグル自治区や内蒙古自治区、青海省や北京市などで野菜栽培の実地指導に当たってきた。2002年には１カ月の報酬は2000元だったが、今では３倍の6000元（約７万5000円）が支払われるという。<br />　17棟の冬暖式ハウスが建てられてから、寿光はずっとハウス野菜栽培のテストケースになってきた。農薬を極力使わずに、天敵を用いた虫害防除を行ったり、肥料に牛乳を用いたり、無土栽培を行ったりの科学技術イノベーション（刷新）を率先して取り入れてきたのだ。有機質無土栽培のハウスは現在、1.3平方キロにまで広がっている。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆合格したもののみ買上げブランド化</span></strong></p>
<p><br />　今日の寿光市には540平方キロの野菜生産基地が広がり、年間の野菜生産量は400万トンを超える。国内の200以上の大中都市に送り出されるほか、日本や韓国、欧州連合（ＥＵ）など20余の国と地域に輸出されている。<br />　栽培規模が拡大するにつれ、王楽義書記を始めとする寿光の野菜栽培農家は野菜を専門に出荷したり、加工したりする会社を興した。三元朱村では王書記の名前の「楽義」を商標にして、「楽義野菜」「楽義冬暖式ハウス」といった商品を開発し、「楽義」がブランドとして広く中国全土に知られるまでになっている。<br />　農家が各戸ばらばらに生産するのではなく、種苗を統一して管理し、生産された優れた野菜は会社が買い上げ、会社の「ブランド」で販売するというシステムが立ち上がったのだ。三元朱村では、野菜の質の標準に合格したものだけを買い上げて、「楽義野菜」として販売している。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="font-size: large;"><span style="background-color: #808080;"><span style="color: #ffffff;">日本のニーズに応えた開発も</span></span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆「野菜栽培革命」のカギは標準化生産に</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span>　寿光市では10万人の農民が農業技術の資格証書である「緑色証書」を所持している。また180人を超す農民が農業科学技術の専門家として全国で活躍している。540平方キロに及ぶ野菜生産基地の98％で、300項目以上の農業先進技術が応用され、良種による播種・栽培が行われている。<br />　「リアルタイム気象報道システム」と「野菜標準化生産技術データシステム」が確立され、「情報伝達カー」がハウスの並ぶ農道を巡回し、必要な情報を常時提供している。<br />　寿光市では、「野菜栽培革命」のカギは、何よりも標準化生産にあると考えている。ちょっとしたミスが、たとえ一、二戸の農家に発生しただけでも「寿光」のブランドを大きく傷つけてしまうからだ。<br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span>　寿光では、ハウスは建設許可制で、土質に基づいた施肥、毒性の高い農薬の使用厳禁など、数々の基準を徹底させることを定め、生産現場での野菜の質の監督管理を強化してきた。全国に先駆けて野菜の「新世代身分証」である「野菜の質と安全を示す二次元コード」を採用、生産と質を栽培の全過程でチェックし、標準化生産を着実に進める道を切り開いた。高品質農産物の認証を得た農作物は325種、商標登録済みの農産物は116種にも上る。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆１日２万トンを取扱う中国最大の野菜卸売市場</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closfo1107200505.jpg" alt="野菜集散センター「寿光農産品物流園」。朝４時過ぎ、中国各地から野菜を満載したトラックが到着、競りが終わると野菜は規格に基づいて包装される。写真はカリフラワー" width="300" height="206" /></span>　寿光市には中国最大の野菜集散センター「寿光農産品物流園」がある。総面積は200万平方メートル。毎朝、午前３時から地元の寿光の野菜の競りが始まり、午前４時半からは山東省内の野菜、午前５時半以降は省外から運び込まれる野菜の競りも始まる。競りが終わると、野菜は規格に基づいて仕分け・包装され、トラックの荷台に積みなおされて、中国各地に送り出される。<br />　ここで扱われる野菜・果物の量は１日に１万5000トンから2万トン。取引額は4000万元（約５億円）近くに上る。全国の20余の省・自治区・直轄市から野菜が運び込まれてくる。<br />　中国最大のジャガイモ産地である内蒙古自治区のウランチャブ（烏蘭察布）と北京は400kmも離れていないが、800km離れたここ寿光の「物流園」に運び込まれ、競りを終えてから、北京に送り出される。<br />　取材したこの日は、江西省からタケノコ、上海市郊外からカリフラワー、海南省からパパイア、それにベトナムからニンジンが運び込まれてきていた。</p>
<p>（写真）野菜集散センター「寿光農産品物流園」。朝４時過ぎ、中国各地から野菜を満載したトラックが到着、競りが終わると野菜は規格に基づいて包装される。写真はカリフラワー</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆日本へはニンニク、ショウガ、ニンジン</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"></span><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" src="/archive03/closeup/images/closfo1107200504.jpg" alt="魚の養殖と野菜の水耕栽培を一体化させたシステム―アクアポニクス" width="300" height="194" /></span>　今年の第12回菜博会では、人の代わりに野菜の摘果や管理を行うロボット、パイプ栽培、魚の養殖と野菜の水耕栽培を一体化させたアクアポニクス（写真左）、回転式水空両養栽培などの最先端栽培法も展示・紹介された。日本からも種苗や肥料の会社がブースを並べ、また野菜取引の商談が行われた。<br />　寿光市には2007年に税関の出張事務所が開設され、野菜輸出の通関事務一本化が実現した。それまでは港で10日から13日もかかった通関手続きが、３日で済むようになっている。<br />　日本へはニンニク、ショウガ、ニンジンの輸出量が多い。主に阪神圏と首都圏に送り出されるという。同じ山東省のニンニク産地・金郷県のものを含めて、寿光に集まったニンニクのうち、今年４月には1500トンが日本に輸出されている。しかし、ブラジルや東南アジアでの需要が高まり、日本へのニンニクの輸出は輸出量全体の２％に過ぎない。<br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/closfo1107200506.jpg" alt="山東省寿光永盛種子公司（種苗会社）の実験ハウス" width="260" height="174" /></span>　そして今後は、トウガラシやタマネギなどの優良品を日本のニーズを踏まえて振興していけたらと関係者は語っている。<br />　中国一の野菜生産・集散基地から、名実相伴う世界の野菜ハイテク栽培基地になるためには、世界各国との交流・提携が求められる。日本とのきめ細かな協力が行われ、その成果がいっそう寿光の名を輝かせることを期待したい。</p>
<p>（写真）<br />上：魚の養殖と野菜の水耕栽培を一体化させたシステム―アクアポニクス<br />下：山東省寿光永盛種子公司（種苗会社）の実験ハウス</p>]]>
        

    </content>
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    <title>今年度の成長率はゼロ％台　　南武志・農林中金総合研究所主任研究員（調査第２部部長代理）</title>
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    <id>tag:www.jacom.or.jp,2011:/closeup//6.13548</id>

    <published>2011-05-23T06:19:42Z</published>
    <updated>2011-05-23T06:47:55Z</updated>

    <summary>　東日本大震災は、東北地方の農林水産業に大きな影響を与えただけでなく、部品メーカーの操業停止による自動車など製造にも打撃を与えた。また、原発事故は農産物以外にも風評被害をもたらしている。
　今後、政府は６月にも復興に向けた構想を示す予定で、それにともなった第２次補正予算編成なども今後の経済に大きく影響を与えそうだ。被災地の復興に向けた着実な歩みが期待される2011年度はどのような経済見通しとなるのか。農林中金総合研究所の南武志・主任研究員（調査第２部部長代理）に解説してもらった。</summary>
    
        <category term="経済" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="/archive03/closeup/">

        <![CDATA[<p style="text-align: center;"><strong><span style="font-size: x-large;"><span style="background-color: #ffffff;"><span style="color: #2981b7;">復興需要が本格化しても厳しい経済見通し</span></span></span></strong></p>
<p><br /><strong><span style="color: #008000;">◆国内景気、再び停滞状況に</span></strong></p>
<p><br /><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="float: left; margin: 0 20px 20px 0;" src="/archive03/closeup/images/clos1105230901.jpg" alt="今年度の成長率はゼロ％台" width="260" height="195" /></span>　３月11日の東日本大震災発生直前までの日本経済は、欧米など海外経済の持ち直し傾向が再び強まってきたことを受けて、輸出・生産に牽引される格好で、2010年夏から続いてきた足踏み状態からの脱却を模索している最中であった。<br />　しかし、震災発生後、被災地やその周辺に集積されていた多くの部品メーカーなどが操業停止を余儀なくされ、国内ばかりか海外の完成品メーカーも生産活動に大きな支障が出ている。<br />　さらに、それに伴って需要水準も大きく悪化、特に東日本を中心に娯楽目的での消費活動に対する自粛ムードが強まった。直接被害のない西日本においても観光業などには悪影響が及んでいる。このように国内景気は再び停滞状態に陥っている。<br />　また、東京電力の原発事故は収束までにはかなりの時間がかかると考えられており、当面は地域経済のみならず日本全体に対して多大な影響を及ぼすことになるだろう。すでに世界各国では、日本からの輸出品に対して規制を導入する動きがあるが、今後、様々な面で「日本離れ」、「日本外し」が長期化するリスクもある。また、供給能力の上積みなどにより、状況が好転する見通しが出されているとはいえ、今夏における電力不足問題をどう乗り切るかなど、数多くの課題が山積されている。<br />　これらをうまく切り抜けない限り、国内経済の再建はなかなか進まず、停滞が常態化してしまう恐れもある。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;"><span style="font-size: large;"><span style="color: #003300;">世界経済の動向</span><br /></span>◆大震災の世界経済への影響は限定的</span></strong></p>
<p><br />　2009年半ば以降、世界経済全体としては回復基調にあるが、先進国・地域ではそのテンポは緩慢で、08年秋のグローバル金融危機によって発生したマクロ的な需給バランスの崩れた状態が続いている。　一方で、新興国・資源国経済は底堅く推移しており、一部に景気過熱感やそれに伴うインフレ懸念が発生している。また、先進国は財政赤字の膨張傾向への警戒が強まる反面、ひと足早く利上げに踏み切ったユーロ圏を除き、金融政策は歴史的な緩和策を継続中である。<br />　これに対して、新興国ではすでに金融政策は引締め方向に動いている。すぐには顕在化することはないと思われるが、こうした「二極化現象」は将来にわたってリスクを蓄積していく可能性もあり、その動向には十分注意を払う必要があるだろう。<br />　世界経済の当面の見通しとしては、先進国経済が徐々に回復力を強めていく反面、新興国では景気過熱やインフレを抑制するための金融引締め策によって成長がやや鈍化する面があると思われるが、全体的には堅調な成長が続き、原油などの資源価格も高値圏での推移が続くものと予想する。東日本大震災の世界経済全体へ与える影響については限定的なものにとどまると見られる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><span style="font-size: large;"><span style="color: #008000;"><strong><span style="color: #003300;">震災復旧・復興に向けた政府の動き</span></strong></span></span><br /><strong><span style="color: #008000;">◆第二次補正予算の財源問題が焦点</span></strong></p>
<p><br />　政府は、被災地の復旧・復興を全面的に支援することを表明した。そうした活動には当然資金の裏付けが必要だが、わが国の財政事情もかなり厳しい状況にあることは周知の事実である。<br />　2011年度の一般会計予算（当初ベース）では、92兆円余の歳出規模に対し、デフレ継続とそれに起因する景気の長期低迷により租税収入は40兆円弱しか見込めず、両者の差額のほとんどは国債発行で賄われている。<br />　しかし、11年度の日本経済は予算編成時の想定よりも大幅に落ち込むのは必至であり、このままでは歳入欠陥の恐れもある。ちなみに、11年度当初予算に基づけば、12年３月末時点で国債発行残高は668兆円（対名目ＧＤＰ比率で138.0％）に達する見込みである。<br />　今回の大震災の被害額は巨額で、かつ被災地が広範囲に渡っていることもあり、「復旧」から「復興」に至るまでにある程度の時間がかかると考えられている。そのため、政府・与党は、1995年1月の阪神・淡路大震災時と同様、複数に分けた補正予算編成を行う方針を示しており、当面の災害復旧費などを盛り込んだ４兆円規模の第１次補正予算は、５月２日に成立した。<br />　一方、本格的な復興のための公共事業を盛り込む第２次補正予算の編成については紛糾が予想されている。最大の焦点は財源問題であり、時限的な復興税の創設案などが浮上しているが、与党内でも異論が多く、今後の議論の行方が気になるところである。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1105230903.gif" alt="生産・輸出の動向" width="560" height="351" /></span></p>
<p><strong><span style="color: #008000;"><span style="font-size: large;"><span style="color: #003300;">当面の経済見通し</span><br /></span></span><span style="color: #008000;">◆電力不足の影響がどう出るか</span></strong></p>
<p><br />　最後に、当面の日本経済の先行きを主要部門別に見ていきたい。まず、家計部門であるが、エコカー購入補助金や家電エコポイント制が10年度内に終了したことに伴い、耐久財については11年度前半を通じて低調に推移することはすでに震災前から見込まれていた。一方、震災後は東日本を中心に一部の食料品・水・防災用品などで買い溜め的な行動が起きたため、一部の非耐久財についても４〜６月期にかけて小幅ながらも反動減が出る可能性もある。<br />　そのほか、夏場に向けては再度電力不足問題への意識が強まると見られるが、それに対する節電努力に伴って再び自粛ムードが強まることになれば、娯楽関連を中心とした消費が落ち込んだまま推移する可能性もあるだろう。一方で、震災からの復興が先行き順調に進めば、住宅再建とともに、耐久消費財についてもある程度の需要が見込まれる。　ただし、沿岸部周辺の復興計画や二重ローン問題などについて慎重に議論する必要があり、住宅などの回復時期が後ズレする可能性もあるだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆公的支出が経済を下支え</span></strong></p>
<p><br />　次に、企業部門であるが、東北・北関東エリアに集積していた部品メーカーが直接的な被害を受けたほか、被災地以外の製造業でも部品調達が遮断されるなどの二次的な悪影響も出ている。それらは復旧に向けて努力しているほか、被災地域以外での生産代替も進行していると考えられるが、夏場にかけての電力不足問題が順調な持ち直しにとっては大きな障害となるのは必至である。<br />　産業界ではピークタイムの電力需要をその前後にずらすなどの対応策を強めていくだろうが、順調な生産を阻害する要因となるものと思われる。それゆえ、年度上期中は生産活動や設備投資行動の停滞が余儀なくされるだろう。<br />　一方、公的需要については、復旧・復興に向けた公的支出が拡大するのは確実であり、一定程度、国内景気を下支えすることとなるだろう。ただし、復興に関するマスタープラン次第では、その時期が後ズレすることもありうるだろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆風評被害で輸出は低調</span></strong></p>
<p><br />　最後に、輸出入であるが、被災による生産停止に加え、原発事故などによる風評被害も考えられることから、輸出は当面低調に推移する可能性が高い。輸入に関しては、本来は国内需要の悪化に伴う減少圧力がかかる半面、海外製品などでの代替に伴う需要が一時的に高まることが考えられる。それゆえ、輸入は輸出と比べて減少幅は小さく、11年度前半にかけては貿易収支の黒字幅が縮小するだろう。一方で、海外経済の堅調さや海外中央銀行の金融緩和政策からの転換、さらに内外金利差拡大予想により為替レートが円安気味に推移すれば、投資収益の受取額を膨らませる効果がある。さらに、震災に伴う日本への義援金送付などにより、海外からの所得移転も一時的に拡大するだろう。それゆえ、経常収支黒字の減少幅は限定的と思われる。<br />　以上を踏まえながら、11年度の日本経済の見通しを述べてみたい。</p>
<p><span enctype="application/x-www-form-urlencoded" class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" src="/archive03/closeup/images/clos1105230902.gif" alt="震災後の経済見通し" width="560" height="333" /></span></p>
<p><strong><span style="color: #008000;">◆年度下期以降は復興需要が本格化</span></strong></p>
<p><br />　大震災発生によって国内需要水準は大きく落ち込んだが、４〜６月期にかけて、生産再開とともに、需要水準も徐々に回復が始まると思われるが、マイナス成長となることは否めないだろう。その後、７〜９月期にはプラス成長に転じると想定するが、サプライチェーン障害や夏場の電力不足問題もあり、力強さは伴わないだろう。<br />　一方、年度下期以降は復興需要が本格化することで、景気浮揚が進展していくものの、11年度を通じての経済成長率は0％台となるだろう。一方、12年度については復興需要が成長率を押し上げることになるだろう。<br />　物価に関しては、大震災発生後もマクロ的な需給バランスは依然として崩れたままという認識は変える必要はなく、物価のベース部分に対する下落圧力は根強いと思われる。<br />　しかし、最近の国際商品市況の高騰によって一部の食料品やエネルギー関連の価格が上昇傾向を強めており、物価指数全体の下落傾向には歯止めがかかってきた。さらに、11年度入り後は、10年度に行われた高校授業料の実質無償化に伴う押下げ効果が剥落することもあり、代表的な全国消費者物価（生鮮食品を除く総合、以下同じ）の前年比下落率はプラスに転じるだろう。　とはいえ、景気停滞が当面続くことから、企業が投入コストを最終財・サービス価格に十分転嫁することができない状況が続く可能性は高く、先行きプラス幅が加速的に高まっていくことはないだろう。</p>]]>
        

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